異端教祖株式会社 (白水Uブックス 85 小説のシュルレアリスム)
異端教祖株式会社 (白水Uブックス 85 小説のシュルレアリスム) / 感想・レビュー
藤月はな(灯れ松明の火)
どうしても山尾悠子さんの『遠近法』を連想してしまうグロテスクで神聖な異端の物語集。「プラーグで行き逢った男」での不死者のユダヤ人はもしかしてキリストの処刑に立ち合った彼なの?「神罰三つの物語」の第三話の「乳鉢棒」や「かゆいところ」表現や「オトゥミカ」での宣教師をやり込める原始的な宗教を信仰する農民たちの遣り取りに爆笑。「贋救世主アンフィオン ドルムザン男爵の冒険物語」みたいな法螺話と史実が入り混じった話も好み。
2017/05/01
魚京童!
日本語で書いてあると思うんだけど、さっぱりわからなかった。まだまだ私は普通なのかもしれない。シュールリアリズムって形而上学だよね。デカルト哲学に書いてあったけど、ウィキペディアには載ってない…。実学を超えたところにある。ロシアの誰かも超人って人を超えた存在を希求していたけどさ、超えたか、ずれたか、はずれたかなんてわからないよね。勝手な判断で狂わせるな!って思うし。世界ってそういうものなのかもしれない。だからこれからオキシクリーンで漂白するんだ。
2018/03/11
Mark.jr
シュルレアリスムの名付け親として知られている著者ですが、ここに収録されている短編はあからさまにシュールなものよりも、キリスト教的神秘色や宗教色が強いものが多いです。そんな中でも「オノレ・シュブラックの失踪」や「贋救世主アンフィオン」などは、奇妙な味でなかなか楽しめました。
2020/01/20
uburoi
シュルレアリスムの先駆とされる短編小説集だ。久しぶりに読んでみていまなお瑞々しさが失われていないことに安心すら覚える。宗教への皮肉を題材にした作品が多い。イタリア生まれの私生児、フランス育ちで生涯女にふられまくったという作者による、無国籍的なボーダーレス感覚の悪漢たちが活躍する痛快無比なコント集だ。地理的に世界を駆け回るだけでなく、『オノレ・シュブラック』だの『偽救世主アンフィオン』だのになると時空まで超越したSF小説と化している。美しき吸血鬼小説『ヒルデスハイムの薔薇』も忘れがたい。
2014/12/10
ふくろう
「異端」しかいないというびっくり本。「正統」があるから「異端」がある。信心というのは、じつは対象が正統か否かは関係しない。
2009/06/04
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