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インド夜想曲 (白水Uブックス 99 海外小説の誘惑)

インド夜想曲 (白水Uブックス 99 海外小説の誘惑)

インド夜想曲 (白水Uブックス 99 海外小説の誘惑)

作家
アントニオ・タブッキ
Antonio Tabucchi
須賀敦子
出版社
白水社
発売日
1993-10-20
ISBN
9784560070994
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インド夜想曲 (白水Uブックス 99 海外小説の誘惑) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

須賀敦子訳のタブッキ。以前から読みたいと思っていた本。期待に違わず、独特のムードを持った小説だ。これは表題に謳われている通り、ボンベイ、マドラス、ゴアの3つの街のホテルを舞台に描かれるインドの夜の物語である。ここに登場するホテルも、タージマハールやオベロイといった最高級のものから、冒頭のカジュラーホのような、ホテルというよりは婬売宿までと落差が大きい。そして、それはまた小説に内包される夢幻と現実との落差や混淆とも響き合う。読者もまた、サスペンス仕立てのプロットを追ううちにいつしか迷宮に捉えられるのだ。

2013/07/29

まこみや

物語の終わりに種明かしがある。この小説は物語ることを物語る、一種のメタ物語と言えるだろう。でも私が一番魅せられたのは、小説の「概念」ではなく、むしろ一つ一つの断片である。スラム街のホテルの売春婦の少女の話。床に真っ黒になるほどゴキブリのいる病院の医者との会話。少年に背負われた畸形の兄が語るカルマの預言。元郵便配達夫の語る海を見た話。どの断片にも、大きな物語が生まれそうな、わくわくするような魅惑と不穏な猥雑さが溢れている。確か石川宗生「バス停夜想曲」は、本書が霊感になったと語っていたように記憶している。

2022/02/28

nuit@積読消化中

初タブッキ。最後に小さく「あっ」と声を出してしまった。まさかの展開に…自分の読み方が間違ってたようだ。まんまと私はタブッキにやられた(苦笑)。ボンベイ(ムンバイ)、マドラス(チェンナイ)、ゴアという都市を主人公に連れられてふわふわと彷徨うような気分で読んでいたが、最後にそうきたか。しかし、本書は普通の幻想譚ともミステリとも違う新しい世界を教えてくれたように思える。これは時を改め、また再読したいと思います。その前に著者の他の作品も読んでみたい!

2017/09/26

seacalf

大好きな白水Uブックスの中でも随分も前から積読にしていた作品。色々なところでお勧めされてるので意を決して本棚から取り出す。やはり一筋縄ではいかない。訳者あとがきで「読者はこれまで試みられたことのない、新鮮な次元で物語が進行していくのに気がつく」とあるが、言い得て妙。夜想曲というタイトルの通り、杓子定規に読んでいると掴みどころがない不確かな世界にいざなわれる。神秘性がたっぷり漂うインドの夜の雰囲気を肌で感じながら不思議な世界に身を委ねた時間だった。

2024/01/05

青蓮

読友さんのお勧めより。160頁と言う小品でありながらも、非常に密度の高い、とても素敵な作品でした。失踪した友人を探しにインド各地を旅する主人公。インドの気怠いような夜の空気、スラム街の宿、饐えた匂いに満ちた病院、バスの停留所で出会った瞳の綺麗な少年。インドと言う異国の旅情とミステリアスな物語の雰囲気がまるで美しい幻燈のように闇の中を流れていく。ラストに明かされる真相も霧のようで掴みどころがないが、しかしその謎めいた結末が物語に心地良い余韻を残す。本書を読んでタブッキが好きになりました。また再読したいです。

2017/07/24

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