フェルマータ (白水Uブックス 124 海外小説の誘惑)
フェルマータ (白水Uブックス 124 海外小説の誘惑) / 感想・レビュー
いちろく
エロエロっすね。時間を止める超能力を女性の服を脱がす事に捧げた男の物語でもある。でもね、単にエロいだけではない。生々しい部分もある。ここまで男性の阿呆な妄想を物語として昇華させたら、コメントに困る。訳者の岸本さんの凄さもある。男って馬鹿、と呆れてくれてもいい。エッチな妄想もするわ。だって男だもの。
2019/07/22
tom
沼野充義の「8歳から80歳までの世界文学入門」の中で岸本佐知子さんの翻訳として紹介されていた本。岸本さんの翻訳本は奇妙に面白い。ということで、10年来積読にしていたこの本を取り出した。主人公は時間を止めるという超能力を持つ。私なら、まずは金儲けを考える。しかし、主人公は、この能力を女性の体を見たり触れたりすることにだけ使う。このユニークさ(笑)。この本について、岸本さんは、「本質的な美しさ、卓越したファンタジー」と語る。しかし、基本はエロ本。でも、こんなエロ本、今まで読んだことがない。優れたエロ本です。
2021/09/18
ヱロ本Gメン
再読。なかなか面白かった。変態フェチ小説だが、なによりメガネフェチについての明文化という大偉業を成し遂げているという意味で大名作。そして岸本佐知子フェチにとっては必読。岸本佐知子と◯◯したい♪
2017/07/01
辛口カレーうどん
岸本佐知子さんのエッセイからたどり着きました。 時間を止められる男の、妄想と現実とが入り交じったお話。 話が色んなところに飛んだり、妙に細かく描写してたりで、ぎっしり詰まった文章だけど、軽快で読みやすいという不思議さ。 作者のインタビューにて、女性はほぼ主人公の行いについて、拒絶、嫌悪感を抱くと言っていた、と訳者あとがきにありましたが、私は嫌悪感を抱かなかった。 むしろ、力を持ったのがこういう人でよかったのでは、と。 リアルな描写が、生々しく美しかった。
2014/07/19
sawa
時の流れを文章で表現するのは難しい、なぜなら描写をすると時間は止まるから。本作は「時間を止める超能力を持つ男が、過去に行ったけしからん悪戯を告白する自伝」という一見下らない体裁をとりつつ、時の流れが鮮やかに描かれた超絶技巧ノベル。停止した世界の描写が幻想的で美しく、映画『マトリックス』の有名なシーンを連想させます。やや下品ではありますが、洗濯機をめぐる幼少のエピソードが笑えるし、「時間を独り占めしてしまうことと同じくらい、時間を愛する人と分かち合えることは奇跡」という素朴な幸福感の溢れるラストも素敵。
2012/03/10
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