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審判 (白水Uブックス 154 カフカ・コレクション)

審判 (白水Uブックス 154 カフカ・コレクション)

審判 (白水Uブックス 154 カフカ・コレクション)

作家
フランツ・カフカ
Franz Kafka
池内紀
出版社
白水社
発売日
2006-05-01
ISBN
9784560071540
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審判 (白水Uブックス 154 カフカ・コレクション) / 感想・レビュー

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里愛乍

『変身』がある日突然虫になるのであれば、こちらはある日突然逮捕される話。だが、こちら読み手の思うような展開が望めない点では『城』に近いかもしれない。ひとつの物語とは大抵事の発端が起こった原因があるもの(だと考えているが)本作にそれは見えない。もやもやした読後感しか残らないがそういう感情を引き起こす小説として再読すれば、またこちらの受け取り方も変わってくるかもしれない。

2017/07/20

syota

自分が何の罪を犯したのかも、裁判の手続きも、裁判所の機構自体も分からず、すべてが闇の中。登場人物たちの行動も、どこか現実離れしている。そんな中で、過信ゆえか自ら墓穴を掘ってしまうK。お役所の秘密主義や腐敗、硬直化、機構の肥大化、その中で押しつぶされてしまう個人、という図式を、現実世界から皮一枚へだてたアナザーワールドを舞台にデフォルメして描いた、と解釈することは可能だろうが、そんなにすっきり割りきっていいのだろうか。正直、よくわからない。要再読。なお、訳文は平明で非常に読みやすかった。[G1000]

2016/05/09

yumiha

「不条理」という言葉が何度も浮かんだ。なぜ逮捕されたのか?誰に何ゆえに訴えられた訴訟なのか?冤罪なのか?裁判はどう進むのか?何も見えてこない。そして、何もかも曖昧模糊な経過で処刑!?謎だらけで不安だけをやけにかきたてる。納得できんよぉ~。こんな死に方はイヤだぁ!大聖堂で「いつわりが世の秩序になり上がった」と言うヨーゼフ・Kの言葉が全てなのか?解説によると、カフカの死後、残された手稿を友人が整理して出版したものらしい。この友人の力不足と決めつけておこう。

2017/09/06

ぞしま

機能不全に陥った法機関に翻弄されるエリート銀行員の30-31歳の綺譚劇。悲劇だが悲劇的と感じない読み心地は何故だろうかと考えてみるに、圧倒的なほど心理描写が欠けた筆致と、絶望的なほど思考停止が蔓延している世界の有りようのためだと思う…。機能のみ肥大化した世界に対して、尊大なKは立ち向かうが、徐々に少しずつ絡め取られていく…その転落の様は不気味で不可解で不可避性を帯びている。読み進むにつれ、いつの間にか私も思考停止に陥って、この小説世界はこうだと受け入れ始めており…いかん!となった…。すごい小説だ

2016/08/14

こうすけ

『変身』以来のカフカ。訳者のカフカ論がとても面白かったので挑戦(https://youtu.be/VC5R9JkemAA) 内容どうこうというより、これを仕事終わりに夜な夜な大学ノートに書き留めていったカフカがすごい。未完とされているけど、十分まとまって終わっている気がする。やたらエロい女性キャラクターたちがたくさん出てくるのが不思議。「大聖堂」の章の飛び抜けた面白さが印象に残る。

2022/03/12

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