KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

断食芸人 (白水Uブックス 157 カフカ・コレクション)

断食芸人 (白水Uブックス 157 カフカ・コレクション)

断食芸人 (白水Uブックス 157 カフカ・コレクション)

作家
フランツ・カフカ
Franz Kafka
池内紀
出版社
白水社
発売日
2006-08-01
ISBN
9784560071571
amazonで購入する

断食芸人 (白水Uブックス 157 カフカ・コレクション) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

のっち♬

『田舎医者』からいかにも著者らしい夢幻的な世界観。傷口の描写に異様な生々しさがあり、性と死のイメージを強調している。『ある学会報告』では「自由」は「幻想」であるとし「出口」という表現を用いる点に著者の思念を感じた。『断食芸人』は、作家と読者の関係性を芸人と観客に重ねたような言い回しが印象的で、世間の無理解に悩む著者の葛藤が投影されているかのようだ。食べない人生、何もしない芸など、様々な逆説的要素を重層的に盛り込んだ傑作。どの作品も非常に短いが、様々な解釈を生み出せる芸術的可能性と独特の呪縛力に富んでいる。

2021/02/10

にゃおんある

その昔、断食をして讃えられた良き日を胸に、それは次第に飽きられてしまうなか、さらに再び脚光を浴びようと足掻くのです。流行り廃りの激しい世の中、人々は新しい変化をリクエストする、それに応えようとする哀しい芸人、プライドの葛藤が孤高へと使嗾させていく。とかく芸人はその宿命を持っている。偶然、読み友の感想の中に風船おじさんのことが書かれてありました。長く人の記憶から忘れ去られたあの人をこうして思い出してみると、彼にもまた哀しい影が宿っています。われわれは、一つの諧謔に過ぎません、好まれる好まれないにかかわらず。

2018/09/06

弟子迷人

カフカ全集ホルダーであるので、この作品自体は何度か読んでいるのだが、 APOMさん(http://bookmeter.com/u/261490)の感想の、    >ボラーニョの『鼻持ちならないガウチョ』の「鼠警察」が、「歌姫ヨゼフィーネ~」のオマージュ作ということで読んでみた。カリスマに群がる集団の心理や言動ってこんな感じだよなぁ。『断食芸人』の四篇が特に面白かった。    のご感想の、ボラーニョの件は知らなかった。(というかボラーニョ何となく未読><)

2014/10/27

こうすけ

カフカ短編集。主に、生前発表されたわずかな作品をまとめたもの。『流刑地にて』に比べるとやや打率が低かった。やっぱり、当時は発表されずに、夜な夜なこっそり書かれた作品が面白い。

2022/06/15

ぞしま

どれも読みごたえがあって、素晴らしい。「夢」はすごくキャッチーかな。 「天井桟敷」は何回か読んでみて分かるような気もするがやはりつかみがたい。よく分からないカフカの長尺な語りが私はすごく好きなのだが、短編だとあまり登場しない印象を持っている。だけど「歌姫ヨゼフィーネ」で語られる語られる〈勇気〉にそれを感じた。書かれているものの不穏さと語り自体の持つ不穏さが混在するとき恍惚に近い感慨を覚える。あとは「断食芸人」。あとがきを読むと死の間際の推敲している姿と最後のセリフがつながりを帯びてきて、胸を打たれる。

2018/12/30

感想・レビューをもっと見る