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彼らは廃馬を撃つ (白水Uブックス)

彼らは廃馬を撃つ (白水Uブックス)

彼らは廃馬を撃つ (白水Uブックス)

作家
ホレス・マッコイ
常盤新平
出版社
白水社
発売日
2015-05-09
ISBN
9784560072004
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彼らは廃馬を撃つ (白水Uブックス) / 感想・レビュー

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巨峰

1930年代アメリカ。ダンスマラソン。何十日間最後までダンスを続けることができたペアが優勝。死なないまでもおかしくなっていく貧しい若者たち。それをみて、娯楽心を満たすセレブ。これ、人の人生を見世物にするのって、今のテレビ局に似ている。

2024/03/24

syaori

結末は最初に示されます。「起立/しなさい」という遠い声とともに過去の彼が立ち上がり回想に入る導入から引き込まれました。彼が語るのは、映画の仕事にありつこうとしていたハリウッドでグロリアと出場したダンス・マラソンについて。物語が進むにつれて途中に挟まれる現在からの声が大きくなっていき、グロリアの言葉は厭世観を増していき、彼らがぐるぐる踊りながら向かう結末まで息を詰めるように読みました。最後のタイトルに繋がる一言、廃馬は撃つもんじゃないんですか?」がとても効いています。本当に彼に「神の憐憫があらんことを…」。

2017/03/15

ヨコツ

大恐慌時代のアメリカ。カップルが手錠で手足を繋ぎ、参加者が最後の一組になるまで、一時間に十分程度の休憩を除いて二十四時間踊り続けるマラソン・ダンス。そんな嘘みたいな現実を舞台装置に、ありもしない希望をそれとわかりながらも求めて迷走する一組の男女を描いた、夢も希望も、金も救いも愛もない、ないない尽くしの小説が本作。付き合うとめんどくさいであろうペシミストのヒロイン、グロリアの呟く「わたしは生きることに飽きて、死ぬことがこわいのよ」は当時のアメリカよりも今の日本にこそ相応しいセリフなんじゃなかろうかね。

2016/05/28

藤月はな(灯れ松明の火)

大恐慌後のハリウッドで大金欲しさに最後の一組になる迄、踊り続けるマラソンダンスに参加した若い男女。閉塞感が募る現代だからこそ、読まれる本ではないだろうか?日々を生きる為の金を稼ぐ為、時間を売って心を失くして馬車馬のように働いても切り捨てられ、顧みられない資本社会。それでも生きられるのは更なる絶望に叩き落す希望が残っているから。それを知る者はグロリアの語る、生きたいと思っているのに突然、ふっと湧いてしまう突然、命を捨ててしまう虚無感に共鳴してしまう。挟み込まれた判決文から分かる現実の絶望に顔を臥せるしかない

2015/07/23

かわうそ

パルプノワールのような簡潔でドライな文体がかっこいい。心理描写が少なく冒頭の出来事に至る過程がスッキリ納得できるわけではないけれどむしろそれがいいところ。

2015/06/15

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