分解する (白水Uブックス)
分解する (白水Uブックス) / 感想・レビュー
maimai
面白い。「小説」という言葉で括ってしまうのがためらわれるようなさまざまなスタイルの短編が、200ページ余りの中に34編。最も短い「完全に包囲された家」はたった4行で終わる。縦横無尽に文体を駆使するというよりは、文章と戯れるという感じ。書くことが好きなのだ、この人は。読んでみようかなという方には、最初に試す短編として「夫を訪ねる」をお薦めします。あとは「姉と妹」。
2023/04/16
ヘジン
いかにも岸本佐知子さんが好んで訳しそうな、珍妙な味わいと毒を含んだ、ちょっと寂寥感もある話の数々。『話』嘘くさい彼の言葉を因数分解する。しちめんどうくさいタイプの人だけれど、私は好きだ。『義理の兄』シュールすぎる。私に義理の兄はいないはずだが、実は存在感がないから、いても気づいていないだけなのか? それともこれは何かの比喩なのか? 『母親たち』いいよね、これはいい話。
2023/06/01
ざじ
表面張力ぎりぎりの情緒が静謐な文体でぷつんと描かれている短編を読むと、自室にこの本があって良かった〜と思う
2023/04/23
Aleixo
夫婦関係の苦さが後を引く一冊。あとがきを読んで、作者の元夫がポール・オースターであることを知ったのだけど、それを踏まえて再読するとまた違った読み方ができるかも、と思った。収録されている短編(掌編)の中では、「フランス語講座 その1―Le Meurtre」が好き。次回の授業の新しい単語リストが不穏で、その2はどんな展開になるのだろう、と想像が膨らむ。
2024/08/17
縁川央
様々なスタイルで描かれる様々な話。不思議な話の中に、ふと日常を感じる動作や感情があって物語はそこらじゅうにあるのだと思った。
2023/04/26
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