ミラノ霧の風景 (白水Uブックス 1028 エッセイの小径)
ミラノ霧の風景 (白水Uブックス 1028 エッセイの小径) / 感想・レビュー
紫羊
須賀さんのイタリア時代の、個性的な友人や知人との交流が、美しい言葉で語られている。戦争の傷跡や、見えないけれど厳然と存在する階級の壁、生きることの哀しさを伝える言葉は、あくまでも静かな調子を崩さない。須賀さんの人間に対する優しさを感じた。
2015/11/28
ちゅんさん
初めての須賀敦子。期待してたとおりとてもよかったです。飾っていないのに綺麗で美しい文章が印象的でした。彼女が翻訳した小説も読んでみたい。
2017/11/03
どんぐり
「いまは霧の向こうの世界に行ってしまった友人たちへ」と綴った追憶のエッセイ。著者もまた、霧の向こうの世界に行ってしまった。死んでしまったものの、失われた痛みの、ひそやかなふれあいの、言葉にならぬため息の、灰。――ウンベルト・サバ
2012/08/01
うた
須賀さんのデビュー作。文章をそっとなでるように読む。順番はすこし違ってしまったけれど、ここから『コルシア書店の仲間たち』『ヴェネツィアの宿』『トリエステの坂道』と続いていった原点が理解できた気がする。
2009/07/26
geromichi
遠い国の友人たちや風景など時間に埋もれかけた記憶を、霧の向こう側を懸命に見通すようにして、そっと掬いだしていくような文章だと思った。
2017/01/15
感想・レビューをもっと見る