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馬車が買いたい!

馬車が買いたい!

馬車が買いたい!

作家
鹿島茂
出版社
白水社
発売日
2009-06-01
ISBN
9784560080009
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馬車が買いたい! / 感想・レビュー

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Willie the Wildcat

19世紀の文学で振り返る馬車と街作り。単なる輸送手段であるばかりか、ステータス・シンボルでもあり、街作りにも影響。その象徴が、”公園”ではなかろうか。興味深いのが、バルザックやユゴーで検証する物価?!著者の文学愛を嫌でも感じるなぁ。(笑)文化面ではオペラ座の変遷、特に仮装舞踏会への転機が印象的。これも暗に「オペラ座の怪人」に繋がっている気がしてならない。バルザック人形・・・か、是非見てみたいものだ。なお、巻末付録の『馬車の記号学』は必見。深いなぁ~。

2016/11/06

ばんだねいっぺい

面白いタイトルだなと読めばそういうことだった。クーペやタンデム、キャブリオレは、ここ由来。異文化理解において同音異義語は、鬼門だなと思ったり。屋上席は、他国でも、似たようなのを観たことがある気がする。危険なのだろうが、乗ってみたいような。

2024/02/01

エドワード

時間旅行のツアーはいかが?19世紀のパリは世界の首都。その物語は今も私たちの心を惹きつける。田舎から野心に満ちて上京する男たち。時間はあるが金が無い。安い宿、安い食堂。学問に精を出し、衣装だけでもダンディを装い、チュイルリー庭園へ。しかし馬車がなければ全て台無し!馬車が買いたい!彼らが何と私たち日本の若者に似ていることか。興味深い指摘は<模倣願望>が成立する三条件だ。衣生活の自由が保障され、モードに接しうる物質的可能性が確保され、社会に上昇エネルギーが存在すること。なるほど、物語の普遍性はモダン都市だ。

2014/02/26

ラウリスタ~

とっくに読んでいると思ったら未読だった。別に馬車の車種の違いについてずっと書いているわけではなく、バルザックやフロベールの主人公学生たちがどんな部屋に住み、いくら食費がかかり、馬車に乗れないがゆえにどんな屈辱を感じたか、などと19世紀小説を本当に理解するために必須な当時の生活についての事典となっている。宿代が安い代わりに、食費が高く、自炊は難しく、洗濯は自分では不可能。一張羅を揃えるのは外車を買うのと同レベルで、それを綺麗に維持するには通りを「歩かない」ことが必須。とても面白い。

2016/07/17

Kouro-hou

19世紀パリ事情本。特にバルザック、フローベール等の作品に登場する地方からパリに来た野心はあるけど懐が寂しい主人公の皆さんを経済的風俗的に当時のパリ文化を交えて解説している。日本円に換算してみようコーナーでの「世帯収入年300万のラスチニャックさん家は息子に仕送り年120万(内下宿代54万)してて、息子さんは貴族の家で見た3000万相当の馬車を見てギリギリしてる」(ゴリオ爺さん)なんて一気に身近さを増して楽しい。馬車の乗車位置で所有者の階級や懐具合がわかるなど、今まで斜め読みしていた描写が面白くなりそう。

2014/11/09

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