荒凡夫 一茶
荒凡夫 一茶 / 感想・レビュー
新井徹
自由で平凡な男、荒凡夫。山頭火の「漂泊」でも芭蕉の「定住」でもない生き方。憧れるが、実にむずかしい。煩悩、欲、本能のままに生きることが人間の幸せであり、「自由」だと著者は言う。「自由」と、他人様、社会に迷惑をかけずに生きる「平凡」の折り合いは、人間誰しもの悩みだろう。一茶の類い稀な“生きもの感覚”が一茶を荒凡夫足らしめたというのが著者の見立てだ。生活に役立たない季語は要らないという生活中心論や「天地大戯場」の境地、「やれ打な蠅が手をすり足をする」が決して慈悲の句ではないといった解釈に共感を持った。
2012/08/04
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