たまかな暮し
たまかな暮し / 感想・レビュー
アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯
妙に古風な若い娘(母の小料理屋を手伝う着物の似合う美しい娘)と、若い男(会社でPCは使うが携帯電話もPCも嫌いで俳句好きの男)の、美味しい食べ物を挟んだ連作短編。実際にはいなさそうな現実離れした人物設定に違和感を持ちながら読み進める。これが昭和初期に発表されたものなら納得出来るのに、平成の世にこれではいくらなんでも……。途中で物語の中に作者を名乗る男が出てくるのを読んで、老人の理想を描いている、いうなればおとぎ話のような小説なのだと納得してからは、そういう風に読んだ。
2015/05/24
きりぱい
エッセイだと思っていたら小説だった。せっかくだから読むか、ぐらいな気持ちで読みだしたのに、これがまあ!最初から最後まで心地よく食欲を刺激する物語ですごくよかった。歳時記を持ち歩き、好きな俳句をノートに書きつける悠三と、着物を着こなすやよい。時代は古くないはずなのにどこか古風。平凡でつつましい暮らしであっても、目に浮かぶ食卓はとても豊か。わさび大根や土用蜆の夕餉、時には豪華にビストロのタンシチューや旅館の思いがけない特別料理と、おいしく食べることをふんだんに、楽しく食べる幸せがあたたかく巡る。
2012/07/23
みんと
慎ましく質素な生活の中にも愛情のこもった美味しそうなものが食卓に並ぶ。 すり下ろしたわさびを乗せた焼き海苔や豚肉の味噌漬け。 何杯でもごはんがいけそうだな。 酒の肴、御飯のおかず、甘味まで美味しそうなものが次々と登場する。 悠三とやよいの食を語るやりとりもほのぼのしていて幸せそうだ。
2014/12/18
こすもす
高級ではないけれど美味しいものがてんこ盛り 幸せの味がする🎵
2019/12/20
きゅー
小さな会社に勤務している悠三は、彼がよく足を運ぶ小料理屋の娘やよいと結婚する。貧乏な夫婦だが、食べる幸せを中心にたまかな暮し(つつましやかな暮し)を楽しんでいる。雑誌の連載物。着物を着こなし、若く、美人で、料理が上手で、性格も良いやよいは中年おじさんの妄想の産物のような完璧さ。おそらくこの雑誌の読者層が好む人物像に違いない。悠三の会社は何年もボーナスが支給されていないが、こうした設定も読者への配慮なのだろう。真剣に読ませるような物語ではなく、メインディッシュの添え物としてちょうどいい塩梅の小説だ。
2017/11/28
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