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遠い部屋、遠い奇跡 (EXLIBRIS)

遠い部屋、遠い奇跡 (EXLIBRIS)

遠い部屋、遠い奇跡 (EXLIBRIS)

作家
ダニヤール ムイーヌッディーン
Daniyal Mueenuddin
藤井光
出版社
白水社
発売日
2014-12-14
ISBN
9784560090374
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遠い部屋、遠い奇跡 (EXLIBRIS) / 感想・レビュー

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syaori

パキスタンの大富豪ハールニーの周辺の人たち(使用人や親戚など)を描く連作短編集。淡々とした筆致で描きだされるのは貧富の差や男女の差、伝統的な価値観と西洋的な価値観が生む軋轢、世代間の価値観の相違などがもたらす人生の綾。時にそれは残酷でもあって、そのなかのささやかな幸福や夢が美しいだけに一層そう感じます。『サリーマー』『燃える少女をめぐって』などに見られる、特に財産を持たない女性の立場の弱さが印象的でしたが、上流階級を描いた『パリの我らが貴婦人』なども静かな映画のようで、どこか寂しい余韻を楽しめました。

2017/02/10

かもめ通信

“パキスタン系”作家のデビュー短篇集。穏やかな語り口ながらところどころにちりばめられたパキスタンという国や人々の置かれた厳しい現状が心に刺さる。けれども物語は、国の内側にむけて語られたものではなく、アメリカ、あるいは他の場所から、かの地とそこに暮らす人びとの営みを覗き込む物語として作られているように思われて、パキスタンの人々がこの物語をどう読むのか、あるいは著者が内側に向けて語る物語があるとすれば、それはどんな物語になるのだろうかと、想像せずにはいられない。いつかそんなサイドストーリーを読んでみたい。

2015/03/01

星落秋風五丈原

国は違うけれどもう一つのダウントンアビー。大農園で暮らす人々と主筋の人達のストーリー。みんな違う箱に入っているのだけれど少しずつ重なり合う。

2015/02/07

きゅー

大地主ハールーニーと彼の一族に関する短編集。20世紀のパキスタンの社会、風俗、世代間の価値観の相違といったものが情緒深く描かれている。上流社会を舞台とする物語も良いが、「甘やかされた男」に登場する老人の惨めさが印象に残った。最後の最後に幸せを掴んだと思ったら、一瞬でそれを喪ってしまい「何の華やかさもなく終わりを迎えた人生」の物語。タイトルも非常にアイロニカルだ。ところで著者はアメリカとパキスタンの両国を行き来している。そのため、ここで描かれているパキスタンは、半ばアメリカ人の目から見たものでもあるようだ。

2015/06/04

ののまる

日本より人口の多いパキスタンについて、時事的なことしかよく知らなかったけれど、貧富や男女差別、旧社会との軋轢も凄まじい。ただ、最近二つの祖国の狭間にいる人のアイデンティティについて読むことが多いので、いくつかの短編が心に沁みました。

2015/03/09

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