ミニチュアの妻 (エクス・リブリス)
ミニチュアの妻 (エクス・リブリス) / 感想・レビュー
巨峰
このジャンル読みなれてないけど、奇想系SF系の物語をさらに歪めたような感じがする。感情を殺して書いているような感じ。現代アメリカ小説家の第一短編集です。
2016/10/01
まさむ♪ね
大いにズレている。つくりの確かなカツラを180度違えて着けているようなこの違和感、どうしてくれよう。はじめのうちは、ん?なんかおかしいな、くらいのズレが、徐々にその程度増していく。全体像が見えてくるころ、違和感の嵐はピークに達し、いつの間にか自分はとんでもないところに立たされていることを思い知る。ハイジャックされたまま二十年間飛び続ける飛行機、小型化した妻とのハードなサバイバル生活、ユニコーンを飼う隣人、オフィス勤めのゾンビは受付嬢に恋をし、奇病を患う男は耳で話す。ああそうか、ズレているのはわたしの方だ。
2016/03/12
りつこ
面白い!奇想短編は読み慣れていると思うけどこれはまたひと味違う。不条理な出来事を感情を排した文章で淡々と描写しているのだが、なにか不思議な懐かしさが漂う。一作目の「操縦士、副操縦士、作家」でハートを鷲掴みにされ、「その奇特な人生」シリーズで中毒にされ、ゾンビ物で無力化される。表題作も良かったけれど、特に好きだったのが「セバリ族の失踪」「角は一本、目は荒々しく」。物語に引きずり込まれメタメタにされ放り出される楽しさよ。
2016/03/15
かわうそ
エキセントリックな設定と異様な状況でも淡々と生きる人々の姿は、内から溢れ出てくるものを文章にしたというよりはこういうものを書こうとして書いたような印象はあるもののなかなか面白かったです。お気に入りは表題作と「僕のすべて」「セバリ族の失踪」あたり。
2016/01/31
ニミッツクラス
15年(平成27年)の税抜2600円の単行本初版。白水社のエクス・リブリスと言うレーベルで、同クラシックと併せて刊行数は多い。著者ゴンザレス(米国)の第一短編集の本書はそのシュール・不条理さに、一気に読むととても疲れる典型的な書籍。とある人物の紹介に特化した“その奇特なる人生”シリーズのような疑似連作風の作品もあり、月刊誌で一遍ずつ読むのが最適。表題作なんて語感から「壜づめの女房」とか「銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件」などを読み返したくなる。奇譚作家だからいずれ河出か早川辺りが…。★★★★☆☆
2022/06/28
感想・レビューをもっと見る