装幀の余白から
装幀の余白から / 感想・レビュー
きゅー
彼のエッセイ『樹の花にて』を読んでから、ずっと彼のファンだった。彼の日本語の美しさ、心情の細やかさ、物事を表現するときの嫋やかさにすっかり惹かれてしまった。彼の文章には、肌の温度が感じられる。本人は人情に疎い、物にばかり対峙する臆病者と言うが、いやいや彼ほど誠実に人と接する者のほうが希少なのでは。そして、この随筆集もやはり素晴らしい出来だった。何度でも読み返したくなる本というのはそれほど多いものではない。しかし、この一冊こそ折にふれて手に取り、少しでも彼の眼差しに共感していたい思わせる傑作だ。
2017/02/21
Yuko
<装幀名人の鋭い観察力が冴え渡り、抑制の美がつまびくエッセイ集。直接装幀とは無縁な日常の発見の数々が、書物という知的世界への興味をかきたてる本。> 2016年 菊地信義さん2冊目。前作「樹の花」1993年出版後約20年間に書かれたものと、2009年日経新聞夕刊の連載をまとめたエッセイ集。 装幀に関するコアの部分は前作の執筆時からほぼ変わっていないと感じた。
2020/02/26
まんぼう
毎晩、寝る前に1篇か2篇ずつ、読みました。大切に、大切に。想像力の源を少しずつ、外箱から取り出しては、また仕舞う。その繰り返しを毎晩毎晩、行ないました。たまたまイベントでお話を伺う機会があり、それまで、たいして気にもしていなかった装幀の奥深さを教えてくれたのが菊地さんでした。ひとかたまりのテキストを基に、装幀の世界はどこから広がるのか。その内的エネルギーのありかを、覗かせてもらったような心持ちです。私も、日々にこのような視点をもって、過ごしたいと、思います。
2016/09/29
nomunomuda
つつんでひらいてを観て知った本。自分が知識人になったような心地良い錯覚を覚える。
2020/02/02
感想・レビューをもっと見る