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いまだ人生を語らず

いまだ人生を語らず

いまだ人生を語らず

作家
四方田犬彦
出版社
白水社
発売日
2023-06-11
ISBN
9784560093566
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ジャンル

いまだ人生を語らず / 感想・レビュー

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アキ

2023年70歳となった現在地を確かめるエッセイ。13年前に57歳の時オスロで「人、中年に到る」を書いた。その続編にあたる。憧れの老人、吉田健一は生きていて一番いい時期は老年であると書いた。そのヨシケンは65歳で逝去した。モンターニュはエセーを47歳で書き、59歳で亡くなった。70歳となり、92歳になる母親と話すとまだ老年とは感じられない。若い頃ソウルにて過ごし、ずっと映画を中心とした比較文化論を書いてきた。50歳を過ぎてイスラエル・パレスチナや旧ユーゴで鮮烈な体験をしてきた。味わいのある文章の数々。

2023/08/04

kaoru

映画・詩・文学・漫画に関する多くの著書がある多才な四方田氏も70歳になられた。13年前に大学を退職し「独りで荒地を彷徨う道を選んだ」後の人生を語るエッセイ集。「ユーミンの音楽を一度も聴かず河瀬直美の映画も10年以上見たことがない」。イタリアの巨匠・パゾリーニ監督に関する記述には蒙を啓かれた。ソウルや台湾の滞在記、愛する飼い犬達の思い出、自らの病、パンデミック、信仰について。「伝道の書」の『コヘレトの言葉』を初めて読んで以来、40年の時間を経てようやく味わえるようになったこと。「つねに信仰と懐疑の両極を→

2024/03/09

もりくに

著者の初読が、「先生とわたし」。恩師である碩学・由良良美との濃密な師弟関係、そして突然の断絶は、四方田犬彦の名前を強く印象づけた。だから、書店で彼の名前を見つけると、必ず手に取ってみた。そして、彼の領域の広さに驚いた。戒厳令下の韓国レポート、パレスチナ、コソボからのレポート。私が次に読んだのは、彼が孤軍苦闘して映画研究をアカデミズムの中に位置づけた「日本映画110年史」。そして今回、「人、中年に至る」を飛ばして、本書。「コヘレトの書」(伝道の書)に、「歌うのに時があり、すすり泣くのに時があると、だから今。

2024/07/10

Sam

著者の本を読むのは久しぶり。読み始めて、これはゆるやかに時間を過ごしながら読むべき本だと思ったのだが忙しさに紛れて走り読み。もったいない読み方をしてしまった。内容的には題名に反して思うがままに人生を語っていると思うがそこはご愛嬌。思わぬもの(こと)に偏愛ぶりを示したり些事にも思えるようなことに舌鋒鋭く迫ったりしているが、真っ直ぐな眼差しで自らの考えを飾ることなく語る著者の姿勢はいつも通りだと思った(というほど読んでないけど)。近著「パゾリーニ」のような大著には手が出ないが、今後も読み続けていきたいと思う。

2024/05/08

hasegawa noboru

<柄谷行人や大川隆法などといった現代思想の人々の書いたものを、もう三十年も以上読んだことがない><わたしはユーミンの音楽を一度も聴いたことがないし、河瀨直美のフィルムも十年以上も観たことがない><内田吐夢や伊藤大輔のような監督と付き合ってみると、小津のいわゆる諦念が苛立たしくなってきたのは事実だ。それが現代という時代に迎合しているように見えることも腹立たしい><今という時代は、つい昨日まで元気だった人が死んだと突然知らされ>る時代で<自分だって、いつ死んでしまっても不思議はないという気持ちで生きている>。

2023/10/13

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