生きてるものはいないのか
生きてるものはいないのか / 感想・レビュー
ふう
前田司郎の第52回岸田國士戯曲賞受賞作。軽いというより軽妙、不条理というより不可解。そんな死がドラマチックでもなんでもなくあっさり日常を飲み込んでゆく。実際の人生とは逆に死んだ人間が退場せずに舞台に居続けるのも、段々と不吉な出来事が近づいてくる緊張感が読んでる者にだけわかるのもすごく◎。会話も自然で、「二人でそんなお祭りみたいなもの飲んで」とか「最悪アメリカ人が助けに来てくれるから」などなど想像以上に笑え、想像以上に面白く読めた。表紙も好き。あー舞台でも観たかったなこれ。
2016/08/14
馬場貴生
映画を複数回見ているが、文章として読むと理解度が増す。舞台が徐々に融和すると言う記述に、映像と舞台の表現の相違を見、舞台が見たいと興味をそそられる。作者の言葉を借りれば「死にながら生きている」我々にとって、滑稽に死んでいくこの戯曲のキャラクターたちは、文明の外に放り出された自然な状態かもしれない。
2013/02/19
いちの
皆が死ぬなら怖くない、むしろ最後に死ぬのは嫌だと思うのは極めて日本人的なのだろうと思います。欧米諸国の設定にしたら全く違う内容になるかも。想像するだけでも面白いです。既に感想に書かれている方がいらっしゃいますが、舞台セットの境界が曖昧で最終的には一つになる、という演出は映画ではできないもので、舞台の強みだと感じました。
2014/01/20
nano
生きている、誕生したからには、死、終わりは必ず存在する。でもそれは突然で、予期せぬ時にやってくる。周りの人々が続々と死んでいく中で生まれる関係の不思議や、臨終の瞬間のあっけなさ。極めて淡白に語られており会話にも無駄がない。軽妙な作品であった。
2013/05/30
...
なかなか。舐めた死に方18連発。その軽さはきっと自分にも返ってくる。そう考えると微妙な気分になる。
2015/01/20
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