城の中のイギリス人(愛蔵版)
城の中のイギリス人(愛蔵版) / 感想・レビュー
青蓮
エロスは黒い神なのですーー世俗から切り離された城で行われる、酷く淫靡で背徳的な、ありとあらゆる手段を用いて繰り広げられる性的倒錯の饗宴。本作ではサド文学のような難しい哲学はあまりなくて割と読みやすかったです。性行為は当然として、食事のメニューまでもエロティックで食でもまた性を楽しむことが出来るのは人間故の特権のように思えます。それにしても人が抱くセックスファンタジーの果てしのなさよ。ここまで来たら気持ちが悪いとかを通り越して、いっそ清々しいような、天晴とでも言いたくなります。異世界を覗きたい方は自己責任で
2018/05/08
*maru*
劇薬注意。「この書物は闘牛の一種と思っていただきたい」…えっと、バタイユ『眼球譚』でも登場したし闘牛ってエロスの象徴なの?深い…な。悪の原理に対する和解の接吻のような物語と著者は申しているが、おいおい、接吻どころの騒ぎじゃないぞ。快楽=自己満足なのは大いに結構だが、ここまでくると淫靡だとか狂宴とかいう範疇から逸脱している。エロを追求するとここに辿り着くのか?「コンクリート・ドリルのように怒張していた」で笑えばいいのか?読書をしていて久しぶりに具合が悪くなった。「エロスは黒い神なのです」……ですね。
2019/08/07
ロア
予備知識ゼロで手に取ったの…装丁もキレイだったし、澁澤龍彦訳だし、タイトルを見てイギリス貴族のホラーチックな物語かしら〜?と思ったの…だって…だって、図書館本には帯ついてなかったからっ!(*ノдノ)エログロ耐性無い人には絶対にオススメできない本書。澁澤龍彦だからこそ、こんなにも「普通」に翻訳する事が出来たのだろうなぁ。さすがのボキャブラリー。澁澤龍彦の紡いだ言葉で違和感や不快感を持ったこと無いものね(*´Д`*)20数年後に作者であることを明かしたマンディアルグによる序文も良いです。
2017/10/23
歩月るな
蟹風呂とかいうネットロアがあるが、お払い箱になったものが蟹のエサにされるという表現がそれを思い出させる。推しのミシュレット嬢は蟹のエサになりました。百年くらい前の話かと思ったら1953年が最初に世に出た話。匿名出版だってのに「書いたのアイツだろ」って喝破されちゃうもんなんだろうか。澁澤も「そんなこったろうと思ったよ」みたいなテイストなんだよね、頭の良すぎる人たちって、やっぱり頭おかしいんだよ(ド級の偏見、ド偏見)。もう少し慎みを持ってちんぽこ遊びをしようと破城鎚の突撃を受ける陸軍が引き締まる思いがする。
2024/05/11
さたん・さたーん・さーたん
城の中で行われるのは狂人の宴。「城」と「訳 澁澤龍彦」ときいて即刻貸出手続き。短編だったためかある程度身構えてもいたためか、比較的あっさり読んだ(無論エログロ注意)。隠喩的な建築や装飾の詳細な描写が読み手を不穏に焦らし、愛らしい人物たちと妖しげな食べ物らが狂態きわまる宴をどこか魅惑的に思わせる。狂人と分かれば狂宴も受け入れられる。それでも踏み入れたとある一線で、物語は幕を閉じることになる。
2020/03/30
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