幼年 水の町
幼年 水の町 / 感想・レビュー
Willie the Wildcat
自分を重ねるなぁ。『池の匂い』は特に親近感。水を覗きたい衝動に、卵かけごはん。前者は生き物のみならず”宝物”、後者は黄身!(笑)次に『カッパ泣く』。私の場合、”たこ焼き”。だって小学校の角で、1個単位で売ってた。部活の後とか、子供なら買うでしょ!先生に怒られること、数えきれない。『芽吹き』や『和音』は”転機”。前者は小5かな、後者は・・・未だに無いかも。『クリスマスの手袋』は、もれなく母とのキャッチボール。壁キャッチボールしてた時に、帰宅した母が何を思ったか相手してくれた。下手だったけど、嬉しかった。
2018/04/02
あじ
記憶の昏いところを濾してゆく、精妙なる随筆。幼年期を独特の洞察力と感性で眺めていく筆者。小説「黒蜜」の源流ここにあり。★3.5/5◆巻末に掌編あり【拝借本】
2018/05/14
Tui
子ども時代の思い出って、明るいばかりではない。だからこそ、希望に満ちあふれたポジティブな物語が多く作られるのだろう。東京下町の川沿いに生まれた著者の、この本に書かれた幼年時代は、まるで川底のような暗さだ。自宅近くの作業場の騒音、親戚や教師など目上の気まぐれな言葉、いじめと格差。大人になっても、大差ない。我が身も、まわりの環境も。流され揺さぶられ、上を見上げてはいつか昇れる日を願う。「幼年はまだ、終わらないのだろうか(61頁)」と。幼年は、いつか終わる。でも川面に立つ縞のように、心の奥どこかを漂いつづける。
2018/03/17
tom
小池さんの書くものは、ときどき読みたくなる。この本は、図書館の新着案内で注文。配本を受けるまで、数カ月。これは、小池さんを読んでいる人が多いということ。それはともかく、この本は、小池さんの生まれ育った土地、所を思い出して書いたエッセイ。小池さん、学校というものに居心地の悪さを感じながら育った人なのだ。この本を読みながら、私もそうだったなあと少々苦い記憶がよみがえってしまった。まあ、いまさら学校に行くこともないから、どうでもいいようなことだけど。巻末の短編書下ろしは、いかにも小池さんらしいよろしい雰囲気。
2018/02/19
きゅー
子ども時代の思い出を綴ったエッセイ。時代は違うのだが、自分も彼女と同様に深川で育っている。だから、この一冊に書かれている地名はどれも懐かしい。しかし、少女時代の彼女は「一人でいるときだけ自由を感じる暗い子供」だったようで、その孤独感が紙面に漲っており、見知った場所もどこかさみしげな印象だ。ところで、彼女の入学した小中学校の教員はかなりマズイ先生ばかりだったようだ。少女を馴れ馴れしく触ってくる教員、シングルマザーの家に酔って電話をかける教員など諸々が登場する。今なら普通に逮捕されるような人間も出てきて怖い。
2018/08/09
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