少女たちの羅針盤
少女たちの羅針盤 / 感想・レビュー
ミナコ@灯れ松明の火
青い時代ならではの尖った感じや、純粋さがまぶしい。繊細さと傲慢さ、脆さと逞しさ、自意識からくる葛藤などが鮮やかに蘇った。誰が犯人であってもおかしくないと、ぐいぐい読み進めることができたけれど、決して「ミステリ」を構成するための「謎解き」ではなかったように思える。過去パートで語られる物語と現在パートで語られる物語、ふたつの物語が時に響き合い、時に不協和音を奏でながら一気にラストへ。映画の方も見てみたいなあ。
2012/02/02
yukision
水生さんのデビュー作にして第1回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞優秀作受賞作品。ロケ地で映画の撮影中,新人女優が過去に犯した殺人について脅迫される現在と,女子高生4人が立ち上げた劇団「羅針盤」を巡る話である過去が交互に描かれる。殺人が起こるであろうことは示唆されながらも,過去と現在がどうつながっていくかが興味深く最後まで気を抜けない。面白かった。
2021/10/10
七色一味
読破。以前から、何度かYAの書架で手にはとったものの、表紙の女の子が妙に私に読むな!と言ってるようで…(笑 ここ最近では、おそらく一番本格的ミステリに近い作品。きちんと人も死ぬし、謎解きもあるし、それなりに意外な犯人でもあり、それまでの背景もしっかりしている。惜しむらくは…、もう少し犯人を追い詰めるときの根拠が明確なら、というのはあったけど。これをYAの棚に置くというのは、逆に読者を限定してしまってマイナスなんじゃないかな~。私的には、気持ちのいいミステリでした。
2012/05/16
kariya
どこまでも続く海原をただ突き進むような。女子高生4人の劇団”羅針盤”は、数多の障害に躓きながらも脚光を浴びようかという矢先、仲間の突然の死によって無残に幕を下ろされた。4年後、名も顔も変えた売り出し中の女優が、撮影現場で次々に現れる脅迫に顔色を変える。「殺したのはお前だ」と。殺したのは誰? 殺されたのは? 現在と回想が交互に描かれる求心的な構成は、特に少女達の葛藤や愛憎が魅力的で、読後は一種爽やかだ。犯人が怯えた潮の香りは、ラストで海を見つめる者達には別の意味を持つだろう。興奮と不安と、そして希望の。
2009/12/22
たか
4人の女子高生が小劇団を結成して、メンバーの一人の死と共にバラバラになって行く青春小説の過去パートと、4年後に彼女が殺されたことに気付いた何者かによって、犯人が追い詰められて行くミステリーパートが交互に描かれる青春ミステリー小説。 途中までは先が読めない展開で面白かったが、ラストがやや物足らなかった。青春小説として読めばなかなか良い。B評価
2018/02/17
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