あんずの木の下で:体の不自由な子どもたちの太平洋戦争
あんずの木の下で:体の不自由な子どもたちの太平洋戦争 / 感想・レビュー
しいたけ
著者は伝えたいことがありすぎたのだろう。蒸し暑くて一歩引きたくなる。子ども向けゆえ説明が多い。客観性のなさと、あれもこれもと話が飛ぶこと、一般的な話と光明小学校の話がごちゃ混ぜになるなど読みにくいと感じてしまった。悪者を一人に絞って一方的な悪口を聞かされた後味の悪さ。純粋なノンフィクションにしてくれればよかった。うちの子が小1のときの担任のよう。「君が代は日本をまた戦争に誘う悪い歌なので歌ってはいけません」。子どもにこそ自分で考える余地を与えて欲しい。実際にあったことについては揺さぶられるものがあった。
2017/08/09
へくとぱすかる
東京初の、今の言葉で言うなら、特別支援教育の学校「東京市立光明学校」。当時の人々の無理解は驚くばかりで、教師さえも、戦争のためなら障害のある子どもたちを見捨てていく。子どもたちの命を守るために疎開を実現させた、当時の校長先生たちの熱意には、頭が下がる思いがする。もし、こんな世の中が再来したら、私たちは果たして子どもたちのために尽くすことができるだろうか。障害者の人権が見捨てられない未来であってほしい。
2017/10/25
なゆ
児童書のコーナーで見つけて。当時、日本で唯一の肢体不自由児のための公立学校である光明学校の子どもたちが、学童疎開の対象からはずされていたという事実を初めて知った。あきらめずに生徒達の疎開する場所を探し続けた松本校長の粘り強さには、本当に頭が下がる。上山田ホテルの若林さんも。優しく受け入れてくれる人もいることに救われたが、一方で心ない言葉を投げつけられる事も。この日本でこの戦争がどのように始まってどんなふうに終わった(負けた)のか、わかりやすく丁寧に書いてあるので、たくさんの子供たちに読んでほしいと思う。
2016/08/01
けんとまん1007
サブタイトルにあるように、とても厳しい状況下での実話。人間の弱さ・醜さが顕著に出る時代。そういう時代で、ここまでできたということに希望を見出す。先生方の思い、それに応える人達の存在。そして、子どもたちの思い。違いと差という言葉がある。その言葉自体の捉え方も千差万別。自分自身の、日々の営みを振り返る。
2021/03/13
ゆみねこ
戦時中、肢体不自由児ということで学童疎開をさせてもらえなかった「光明特別支援学校」の子供たち。ようやく見つけた疎開先、長野県上山田で4年もの月日を過ごすことになった。いじめも戦争もその根っこは「醜い心」から生まれる。平易な文章で淡々と描かれていますが、児童書ジャンルなので子供たちにも大人にも手に取って欲しい1冊です。
2015/11/04
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