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“機関銃要塞”の少年たち (評論社の児童図書館・文学の部屋)

“機関銃要塞”の少年たち (評論社の児童図書館・文学の部屋)

“機関銃要塞”の少年たち (評論社の児童図書館・文学の部屋)

作家
ロバート・ウェストール
越智道雄
出版社
評論社
発売日
1980-12-20
ISBN
9784566012042
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“機関銃要塞”の少年たち (評論社の児童図書館・文学の部屋) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

第二次大戦下、イギリス東部の港町ガーマス(作家の故郷タインマスがモデル)が舞台。町は連夜のようにドイツ軍の空爆にさらされている。小説はこの町の少年たちを描いてゆく。彼らが作った要塞は対ドイツ空軍のためのものであったが、そこは彼等自身がこの小世界に結束し、大人たちから独立する空間でもあった。これは、少年たち(一人の少女を含む)にしか持ちえない理想と感性とを、乾いた抒情の中に描いた小説である。それは、あるいは戦時下においてしかなし得なかった「解放の砦」でもあったのだろう。結末は必然だが、強い喪失感に包まれる。

2016/08/18

ケイ

イギリス児童文学万歳!子供たちの友情に万歳!ナチスのルーディにも万歳! 戦時中の子供たち。思春期に入る微妙な頃。親はうるさい、うざったい。大人の理屈なんてくだらない。まともに聞いてれば、友情は潰されるし、友達は孤児院送りにされてしまう。これはごっこ遊びじゃないぞ。戦いだ。そしたらふらっとナチスも舞い込んでくる。大人とは言え、リデル先生だけは別格だ。リデル先生への万歳はこっそりと。一番イカしてるのはクロッガーだな。チャスの良さをちゃんと見てる君はサイコーだ。

2016/04/29

まふ

「児童図書館・文学の部屋」シリーズだが立派な大人向けの作品だ。グラマースクールの14歳のワルガキのチャスとその仲間たちが、墜落したドイツ軍の戦闘機から機関銃を切り取り、「要塞」に隠す。ドイツの戦闘機がまた撃墜されてドイツ人軍曹ルーディが要塞にかくまわれる。ドイツ軍が上陸作戦を実行するとの報があり、少年たちはドイツ軍のような影に発砲するがそれはデマであり、少年たちは保護される…。懸命にドイツ軍と戦おうとする意気込みがわけもなく感動的だ。少年たちの心意気が読んでいて切なく、まぶしく感じられた。G1000。

2024/01/12

扉のこちら側

2017年158冊め。【286/G1000】既視感があると思ったら、”Fathom Five ”の前作のようである。 日々悪化するドイツ軍の爆撃と、迫る同軍の上陸を目前にした町。撃墜された爆撃機から無傷の機関銃を取り外して、自分たちの秘密基地に据えてしまうのに、戦時下の子どもらしい逞しさを感じて清々しい一方、現代の大人の眼から見て痛ましさも覚える。苦い結末に、最後の一言は気が効いている。

2017/02/15

Shintaro

ウェストール2つ目ですが、児童文学の枠を遥かに超えています。日本にも「はだしのゲン」や「火垂るの墓」などがありますが、ナチスに立ち向かおうとする少年たちを描く、YAも視野に入れた戦争文学はイギリス、そしてウェストールならではの持ち味で、稀有な作家だと思います。1940年はヒトラーの快進撃の時代で、フランスの基地からは20分も飛べばドーバー海峡を渡ってしまう。当時のイギリス人はナチスが攻めてくる、と相当なプレッシャーを感じていたことがわかります。彼らもグラマースクールを卒業したら従軍するのかと思うと切ない。

2016/07/09

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