さむらいの巣 (PHP文芸文庫)
さむらいの巣 (PHP文芸文庫) / 感想・レビュー
星落秋風五丈原
宝暦7年、侍・徳山五兵衛が波乱に満ちた68才の生涯を終えた。徳山権十郎五兵衛は大身旗本の次男。50才を過ぎた謹直な父・重俊は、奉公に上がった女中に心ならずも手をつけた子だという事もあり、権十郎の粗暴な振舞いを見るにつけ、ついいまいましい思いに捕われてしまう。使用人達も権十郎には仕える事はないと思い込んでいるので軽視してかかる。権十郎は多感な少年だけに、それが我慢ならず乱暴を働き、不満や寂しさのはけ口を外に求め、放蕩の味を覚える。剣術道場で毎日励み、悪友の誘いで女を覚えて身を崩す。彼は鬼平の大先輩。
2003/07/26
HIRO1970
☆★☆似たような話は読んだ気はしますが、全て初物だということです。版権の関係だとは思いますが、オムニバスにも程があるよと言った感じで余りに短編の内容がバラバラで、こんな編集では正ちゃんに怒られるよ等と思いながら前半は馴染めませんでしたが、後半はすーっと引き込まれ違和感なく読み進めたので驚いています。昭和37年~54年の間の作品ですので長い期間のようで僅か17年の間の作品が載っています。表題の『さむらいの巣』は鬼平の元ネタの習作といった感じですが完成度が高いので非常に楽しめました。お勧めします。
2014/02/04
サンディK32
何ともマニアックなPHP! 何だか色々思い出させてくれる短編集とインタヴューでした。取り敢えず『おとこの秘図』再読したくなりました。それから、四谷の戒行寺、長谷川平蔵の墓は紛失しているとは、気付かなかった… 供養碑だったとは(^.^;
2016/01/08
ドナルド@灯れ松明の火
池波さんの発表作(未刊行作品)を掲載した本。5代目徳山五兵衛重舊の日本左衛門捕縛に至る話が良かった。鬼平のベースになってるなぁ。三国一朗との対談が掲載されており、当時の世相がわかるのにはびっくりした。
2013/09/21
nyanlay
長谷川平蔵とは違う火付盗賊改方の人間像の短編を中心に紀行文と対談をまとめた一冊。短編では親子の難しさがひしひしと伝わってきました。紀行文は池波さんが目に浮かぶようです(実際は拝見したことはないですが)。対談はもっと突っ込んだ会話が良かったかな。
2017/07/01
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