狐狸庵歴史の夜話 (PHP文庫 エ 3-3)
狐狸庵歴史の夜話 (PHP文庫 エ 3-3) / 感想・レビュー
夜間飛行
よく歩く人だ。そして取材した土地の一木一草まで目に焼きつける。例えば、本能寺の変を毛利に知らせるはずが誤って秀吉の陣に跳び込んだ使者のことを知ろうと、わざわざ現地を訪ねたそうだ。小説「黒ん坊」で甚兵衛とツンパが屁を推進力に競走する話は、その取材から生まれたのだろう。ツンパが円通寺川を跳び越える場面は、その土地を知らなければ書けないはずだ。中でも著者が好んで訪れるのは《人間のイヤアな臭い》が残っている廃墟である。そこにあって人生を見続ける《廃墟の眼》に肉欲を感じるのだと。廃墟の眼って、小説の種のようなもの?
2024/07/30
ワッツ
狐狸庵が語る戦国時代。司馬遼太郎との邂逅から始まる。狐狸庵も随分と戦国時代好きだ。拙者も戦国時代が大好きなので、とても面白かった。今では史実が変わって来ているので、なんとも惜しむらくはあるが、狐狸庵ならではの洞察が素敵だ。これが晩年の歴史小説に繋がるのだと思えば実に感慨深い。基督教作家でありながらも、随分と中庸な姿勢(細川ガラシャのことなど)を見せているのも流石と言わざるを得ない。すごく残念なのはキンドルで読んだが、誤字が数十カ所に及んだことだ。これは酷すぎるだろう。
2017/07/03
hamu hanako
「沈黙」とか、重い話ばかり書いてらっしゃるのかと思いこんでしまってましたが、こういう、ちょっとくすっとできる軽めのエッセイも書いておられるんだなあ、と。タッチは軽いけど、歴史考察はすごいどっしりで勉強になりました
2012/01/25
やすかりし
昔から狐狸庵先生のエッセイが大好きで、久しぶりに手に取った。どこかで読んだ話もあれば、初めて読む話もあり。遺跡も遺構も残らない、ただの道端に歴史の息吹を感じる狐狸庵流日本史を満喫。
2018/07/17
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