馬と黄河と長城の中国史: 興亡の歴史を新たな視点から探る (PHP文庫 に 9-2)
馬と黄河と長城の中国史: 興亡の歴史を新たな視点から探る (PHP文庫 に 9-2) / 感想・レビュー
韓信
長城と黄河を軸に中国と遊牧民族の攻防を捉え直す、環境歴史学の先駆的な本。PHP文庫(底本は徳間書店)だからってバカにしてたけど面白い。越えられることを前提として築かれた長城の役割と農耕ラインぎりぎりの立地の意味や、遊牧民の南下を促す黄河の凍結問題、モンゴル馬のアドバンテージなど、最近の農牧接壌地帯論と併せて考えるべき問題が提起されている。馬体については競馬好きの著者ならではの具体的な指摘が説得的。ただ、長城には中国の民衆の塞外への逃亡を防ぐ役割もあったと言われているが、この点にも言及してほしかったかな。
2012/05/31
感想・レビューをもっと見る