最後の対話: ナショナリズムと戦後民主主義
最後の対話: ナショナリズムと戦後民主主義 / 感想・レビュー
白義
端的に言えば「自分たちを縛っている拘束性を自覚しよう」ということを二人で延々語っている本。例えば、戦後のナショナリズムの発露の中でもそこそこ興味深い「天皇抜きのナショナリズム」の提唱についても、天皇という存在、言葉がむしろ右、保守派の間で思考停止の曖昧なマジックワードになっていると強調した上で、天皇を前提としない「ナショナルな日本語り」を意識することの宣言だと言える。それは、福田が右派では珍しく日本の戦争責任を全面的に認め「加害者としての日本・自分」を語れる人であるのと同じだろう
2014/04/24
半木 糺
福田和也の言うナショナリズムも大塚英志の言う戦後民主主義も戦後の思想史から断絶した、いわば彼らのオリジナルの思想である。福田はそれに気づいている、というよりそれを意図して振舞っているようであるが、大塚は素朴に「戦後民主主義」なるものがあると考えているようである。大塚の思想は基本的におたく的想像力に支えられているものであり、別に左翼的言説の伝統に連なるものではない。むしろ戦後漫画史やアニメ史の文脈の上で理解されるべきものであろう。本書ではそれが濃厚に浮かび上がる。
2013/01/14
脳疣沼
大塚英志の話しぶりは抽象的でよく分からんなあと思うのだが、その憲法論なんかは、なんでわざわざそんな考え方をしてまで日本国憲法を守ろうとしているのか分からない。アメリカからの独立は最もなことだが、その方法論は述べられていない。しかしまあ全体的にはごく真っ当なことを言っていると思う。二人の主張もところどころで一致している。大塚英志が2001年の段階で、韓国の若者文化、サブカルチャーが日本を超えてアジアを制するようになると断言しているのはすごいなと思った。やっぱり専門家だけある。
2014/08/28
anahobe
一般名詞としての「ナショナリズム」「戦後民主主義」を語る本ではなく、福田和也の言う「ナショナリズム」、大塚英志の言う「戦後民主主義」とは何かを明らかにしつつ、互いに互いの使っている言葉の意味を摺り合わせしながら、互いに同意できるところと違いと求めること、みたいなところをはっきりさせようという対談。対談としては建設的で良かった(言葉の摺り合わせしなきゃいみないよねと思う対談本って結構あるから)。アメリカが「戦争」の概念を変えたという福田氏の近代史説明が面白かった。先日読んでいたナポレオンの話を思い出した。
2013/05/22
放蕩息子
初読
2013/03/31
感想・レビューをもっと見る