幕末あどれさん (PHP文庫)
幕末あどれさん (PHP文庫) / 感想・レビュー
rakim
幕末から明治維新までの激動の時代に生きた旗本の次男坊2人の生き様。「家」というしがらみから逃れようとしたのか逃れても矜持のよりどころではあったのか、二人の接点は全く無いようでいてかすかに運命の糸は触れあっているのか。松井さんの緻密な目線で描かれる当時の芝居風俗や階級崩壊も読みどころです。「銀座開花おもかげ草紙」を先に読んでいましたが、その前にあたる物語。(積11/36)
2016/06/28
風が造る景色
江戸から東京へ、芝居でも思いもつかない筋立ての幕末の時勢に翻弄される若者たち。『小団次の腕』は圧巻で、芝居の世界に取り込まれました。 間違えて『西南の嵐』を先に読んでしまってから3年、やっとこの作品を読みました。もっともっと大きく評価されてよい作品だと思いますし、自分にとっては、きっとこれから何度か読み直す、長く付き合うことになる作品です。
2013/08/24
kishikan
あどれさんとは、フランス語で「青年」という意味らしい。幕末に生きる二人の青年の話。互いに武士の家の次男として生まれるが、武士の精神との葛藤の中で、維新という激流にもまれながら、ちょっとした違いが、大きく生活を変えてしまう。悲しみも、憎しみも喜びも、その時代の生き様を語ってくれる。歌舞伎の企画制作に携わる松井の真骨頂ともいえる作品であろう。話の中ごろに登場する、「馬鹿長」のくだりには、思わず涙してしまいそうだった。
2008/07/19
YH
幕末を扱った小説は沢山あるけれど、中心となるのが庶民や役者の生活というのが非常に面白かった。揺れ動く時代に、揺れていたのは上だけではなく、当然ながら庶民もだというのが良くわかった。
2010/08/23
まりこ
幕末の江戸、次男坊の青年の話。へそ曲がりなところもある宗八郎と徳川武士として負け戦に挑んだ源之助。宗八郎は芝居の立作者に弟子入りし、生き抜く。武士を捨てる生き方は難しくとも、芝居など江戸の庶民と交わっていた宗八郎は生き抜く。面白かった。源之助は精一杯だが痛々しい感じ。
2014/04/29
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