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風の陣[裂心篇] (PHP文芸文庫)

風の陣[裂心篇] (PHP文芸文庫)

風の陣[裂心篇] (PHP文芸文庫)

作家
高橋克彦
出版社
PHP研究所
発売日
2012-09-18
ISBN
9784569678832
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風の陣[裂心篇] (PHP文芸文庫) / 感想・レビュー

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財布にジャック

あざまろさま~っ!と叫びたくなる完結編でした。風の陣の主役は嶋足や天鈴だとずっと勘違いしたままこの最終巻に突入して、ここでやっと気づきました。鮮麻呂様が蝦夷代表の第一走者だったのですね。前半は我慢に我慢を重ねる展開なので、なんだか煮えきらない鮮麻呂にいらいらもしましたが、最後の100ページは息もつけない程の緊張感でした。そして「風の陣」の題名も、ようやくこの巻にきて意味を持ってきました。今ここにシリーズ4部作を全て読み終えて、全作品を回想し感動に打ち震えている自分がいます。高橋さんありがとうございました。

2012/11/08

gonta19

2012/9/20 Amazonより届く。 2014/6/6〜6/13 いよいよ最終巻。鮮麻呂に主役が移り、とうとう蝦夷が決起する。我々が日本史で習う歴史は朝廷側のものであって、虐げられた側の視点はすっかり抜け落ちている。高橋さんは、逆側からの視点で見た歴史を鮮やかに描きだす。本当のところはどうだったのだろうか。物事はやはり両面から見ないといけないことを再確認させてくれる。このシリーズの次の世代の物語にあたる「炎立つ」をもう一度読み直したくなった。

2014/06/13

kawa

最終巻は舞台を京(奈良)から、東北に移し「宝亀の乱」を被支配者側からの視点で描く。主人公は、東北蝦夷・伊治(これはる)の首長でもあり、陸奥守のもとで官人としての職務も務める鮮麻呂(あざまろ)。権謀の限りを尽くす敵役は、陸奥守・紀弘純(きのひろずみ)、道嶋大楯(みちしまのおおたて・4巻までの主人公・嶋足の義弟)。この手のドラマは、主人公が悩み苦悶し、ヒールは悪賢いほどに嵌る展開になる。本作はその期待の応える出来栄えで600頁一気読み。後期奈良時代の歴史ドラマを堪能させてもらった。

2020/07/16

あらいぐま

矢は自分によって放たれた。 伊治鮮麻呂は蝦夷の民の平穏を願って起ち、自らの欲望のために悪政を繰り返す陸奥守紀広純を討ち取る。後に続く蝦夷の民に希望を託して。 それまでの4巻とは全く違うテイストだが、都での嶋足や天鈴の縦横無尽の活躍ぶりとは対照的に、いかに現地では蝦夷が朝廷から虐げられてきたが浮き彫りになった最終巻だった。山の中に入るのと遠くから見るのでは山の見え方が全然違うという言葉にハッとさせられた。 鮮麻呂の最後を読んで風の陣というタイトルの意味がよく分かった。

2021/05/03

Haru

終始重苦しい気持ちでした。なぜ蝦夷がここまで差別されなければならないのか。日本という統一国家になった現在では、想像出来ない民族対立。と言ってもそれは朝廷側から見た差別で、蝦夷を人と認めない深く根強い偏見は形のない敵で、嶋足、天鈴、鮮麻呂が挑む戦いに終わりはない。ここまで来ても、嶋足や天鈴のやってきたことがまったく無駄だったように思えて、実に憂鬱な気持ちになったけれど、最後に鮮麻呂の起こした風は、やはり彼ら全員の血を吐くような努力の結果吹かせることの出来た風なのだろう思うと、少しだけ気持ちが慰められました。

2012/11/25

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