独立記念日 (PHP文芸文庫)
独立記念日 (PHP文芸文庫) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
一話が次のお話と繋がり、そこからまた次にと展開してゆく24の掌編小説集。いわば、物語のしりとりのような構成だ。途中2話ほどは連鎖のつながりを見失ってしまうのだが。本文中の言葉を借りるならば「会話とか家族とか恋愛とか、現代社会のさまざまな呪縛から逃れて自由になる人々が主人公の短篇集」とのこと。いずれも軽やかなタッチで物語がスキップしてゆく。そして、読後にはほんのりと暖かな灯を読者の胸にともすのである。なお、最後の物語は冒頭のお話と呼応する形で、出演者が大勢登場しての大団円。めでたしめでたし。
2019/03/12
馨
読み友様のレビューを読んですぐ購入しました。仕事、恋愛、家族などなど色々な状況からの独立をしていく女性たちが主人公の短編。前の作品と次の作品が繋がっていて、忘れたころに最後に最初の作品へかえっていく、それまでの人たちも皆繋がっているストーリーは上手です。同世代の女性たちの話はとてもリアルで共感できることも多く主人公たちと一緒に私も何かから独立したくなりました。個人的には「缶椿」「お宿かみわら」が好きです。
2016/12/29
ミカママ
マハさん、上手いわぁ。24もの連作短編集。どの主人公も、最後にはちゃんと立ち上がって前に進んでいく。そしてラスト...ここ、映画やお芝居なら、観客が総立ちで拍手してますね。願わくばマハさん、次回は主人公の年齢層をもっと上げての同形式でよろしく♪
2017/05/07
SJW
様々な年代の女性たちが迷いや悩みを抱えるものの、誰かと出会ったり、何かを見つけたりすることで、新たな自分に変わり再出発する24の短編集。それぞれは個別の話だが、脇役として出ていた女性が次の話の主人公として登場して話を紡いでいく。この手法は有川さんの「阪急電車」を思い出させる。そういうことで悩むのかと驚いたり、外資系の破綻など見慣れた社内の様子など懐かしく感じた。それぞれの話に涙したり、胸が熱くなったり、独立した女性に応援したりとたくさんの思いが詰まった短編集だった。
2018/06/30
yoshida
手放しで素晴らしいと言える作品です。何かに悩み、つまづき、苦しむ女性達が、また明日を向いて立ち上がる姿を24編集録された短編集。連作なので初めは最初から読むのが良いかと。どの短編も素晴らしいので、気に入った短編から読むのも良いです。人生は思い通りにならないこと、予想もしないこと、理不尽なこと、様々な出来事が起こります。それでも、立ち止まったら少しずつ歩きだし、転んだら立ち上がり、人生を進めて行く。この作品はどの短編もラストが前向きで素敵な言葉に溢れている。苦しむ読者の背中を優しく押してくれる作品です。
2016/11/27
感想・レビューをもっと見る