小説の読み方~感想が語れる着眼点~ (PHP新書 588)
小説の読み方~感想が語れる着眼点~ (PHP新書 588) / 感想・レビュー
パトラッシュ
小説を読んでも読書メーターで感想を書くのに苦労している人は、本書で読み方のノウハウを学べる。いつの時代いかにして作家が小説を書いたのか意図を分析し、この描写により何を発信したいのかを受け止める。「この場面で書き手がこの言葉を選んだのはなぜか」と考えることで自分が感じたもの、得たものを表現する力を養っていくのだ。しかも小説発表の場が紙から電子へ移行して、従来は通用したやり方がネットにも適用できるとは限らなくなった今日、新しい表現方法をも模索する必要性にも目配りする。読者も小説の登場人物なのだとわかってくる。
2021/12/09
mayu
「本の読み方」の方を読みたかったのだが間違ってこっちを借りてしまった。本を例題にして小説の読み方を楽しく読むコツを解説していく。紹介された「カラマーゾフの兄弟」を再読したらまた理解が違ってくるのかなぁと思った。知ることで今後の読書が充実することを期待したい…が、理解がまだ追いついてません💦
2019/09/08
ヴェルナーの日記
本の読みには、小説の内に入っていく「内在的」アプローチと、外へ出て行く「外在的」アプローチがある。本書は、前者に当たり、テクストの構造を分析し、批評しているわけだが、専門的な言論を避けて初心者にも解りやすく、しかも具体例を挙げて解説しているところに好感を持った。本を読む行為、いわゆる文学批評の入口に位置する本である。
2010/09/21
KAZOO
私にとってはほとんど読んだことのない分野ばかりの本でした。作品を9つばかり選んでの読書の仕方というか著者の考え方を例を持って示してくれるという感じで興味を持って読むことができました。このような読書の仕方を示してくれると助かります。
2014/07/18
Lee Dragon
小説の読み方についてプロの作家が解説をしている。動物行動学のアプローチを小説に応用している出だしからして面白い。主語補充型述語、行動型述語は英語構文のSVC,SVOの関係に当たるかと思うが、その流れを共通して受けている日本語の助詞の美しさを再認識した。行動を受ける述語が主語補充型にもなるので、テンポの早い小説はこれを駆使して物語を前進させているのだろう。本書で紹介されている恋空の作者は対比構造なんて一切意識してなかっただろうが、分析してみると新たな一面が見えて深みが出る。面白かった。
2018/11/18
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