戦後民主主義と少女漫画 (PHP新書 597)
戦後民主主義と少女漫画 (PHP新書 597) / 感想・レビュー
阿部義彦
著者の本業は写真評論家、私より7歳年上です。70年代の少女漫画を入口として、戦後民主主義から超高度消費主義社会までを語ります。取り上げる漫画家は主に3人、大島弓子、萩尾望都、岡崎京子です。第一章のタイトルが『大島弓子とバナナブレッドのプディング』です、やってくれてます、勿論橋本治の評論なんかも引用しつつ、はっぴいえんどの女王についての考察を進めます。その後萩尾望都、岡崎京子に至ります。岡崎京子の『ヘルタースケルター』と大島弓子の『つるばらつるばら』との同一構造性には、あっと驚きました。かなり濃いです。
2023/09/06
ぐうぐう
飯沢耕太郎が少女漫画を批評することに、まず驚いた。どうやら飯沢が熱狂的な少女漫画好きであることを知った編集者の企画らしい。しかも、新書の読者層を狙ってか、戦後民主主義というお題目まで命じられては、飯沢に同情すらしたくなるほどだ。予想通り、先行する大塚英志の著作の影響から抜け出ることなく、熱烈な少女漫画ファンの域を出ない内容となってしまった。本書でほんの少し触れられるガーリーフォトブームを作った女性写真家達との関連で少女漫画を語ったほうが、よっぽど飯沢耕太郎の個性が出たように思えて残念だ。
2009/07/06
佐島楓
評価が難しい・・・。少女漫画の中でも自己肯定が大事にされ始めたのが70年代前後というのはわかる気がする。今現在につながる文化の中での文学性も確かに存在する。以降はバブル崩壊とか、ツールの問題とか、いろいろな要因が絡むんじゃないかな。あまり漫画を読まなくなった人間なので、はっきり意見はできないけれど。
2011/08/27
カキ@persicape
期待してたのと違ったという新書あるあるに遭遇。タイトル詐欺だよね?ただこのおじさんが素晴らしいと認めている少女漫画への愛は伝わった。好きでしょうがないのだろう。でも論じるには不要なノスタルジー成分がかなり入ってる様が私には拭えなかった。おじさん目線で昔は良かったと上から語っていて、へぇーそうなんですかぁと若者として興味深く相槌はとりあえず打っとくみたいな読書になった。それとバナナブレッドのパンプティングを熱く語っておったが大学1年の時に読んでるんだよなぁ、おかしいなぁ、内容全く覚えてない(^^;;
2017/01/18
wm_09
筆者が、大島弓子・萩尾望都・岡崎京子らを好きな理由を「純粋少女性」という言葉でなんとか言語化していこうとする試みは評価できる。「24年組」を好きな理由、現在の少女漫画に軽さを感じる理由、「ハチクロ」に24年組らしさを感じ取った理由、それらを言葉にするのはたぶんすごく難しい。「純粋少女性」の定義が結局あいまいになってしまったのは残念だが、「じゅずつなぎ思考」は面白かった。結局のところシチュエーションの問題じゃない気がする。(ローウェル嬢)
2010/12/27
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