全一冊 豊臣秀長 ある補佐役の生涯 (PHP文庫)
全一冊 豊臣秀長 ある補佐役の生涯 (PHP文庫) / 感想・レビュー
W-G
『虎の城』から、豊臣秀長の人物に興味が湧き、その中でも特に有名な本書を手に取った。とても有能な秀長の様子にも感銘を受けたが、秀吉のキャラが非常にユーモラスで楽しい。良い兄弟だなと、見てて微笑ましくなる。まさに”補佐役”として百点満点の生き様ではあるが、これは果たして兄弟の縁なくして成立する関係性なのだろうか?というのがむずかしいところ。兄が相手でなければ引かなかった場面も多々あるように思える。同族経営が時代遅れとなっている現代に、このような補佐役が生まれる余地はあるのだろうか。などと考え込んでしまう。
2020/06/01
ゲンキ
堺屋太一さんの本だから、手にとってみるも、正直に言って、豊臣秀長って誰?、秀次なら知ってるけど、と思いつつ、本の帯に「菅官房長官が愛読書として紹介!」と書かれていたので読んでみました。750ページもの大作でした。読み終えた今、菅官房長官は内閣総理大臣になられてました。名将や名参謀を描いた本は読んだことがありましたが、補佐役を描いた本は初めて読みました。豊臣秀吉とともに尾張の貧しい農民の出ながら、野心家の兄秀吉を天下人にたらしめた弟秀長の生涯が描かれてました。年内に読みきれて良かったです。
2020/12/27
takaC
言われるまで気づかなかったが秀長を主役にした話が無いのは秀吉の存在がある以上必定なんだろう。この本も著者が巻頭で宣言してるほどに隅から隅まで秀長な感じではなかったし。特に荒木村重の章などかなり無理やりだったぞ。
2017/08/14
kiyoboo
「小一郎、後は頼んだぞ」「小一郎、殿を努めてくれ」など、豊臣秀吉が全面的に信頼を寄せる数少ない肉親で実弟の豊臣秀長。唯一、天下人に提言することができた。人たらしの秀吉に「祝言を挙げるから来てくれ」で連れ出されても最初のうちは「百姓の方が気軽でいい。」なんて言っていた弟であるが、何の因果か兄に捧げる一生を送った。日本一の補佐役という称号は作者の堺屋太一が与えた。なお、あとがきで「この人が秀吉よりも長生きしていれば、歴史は変わっていただろう」はこの人の生き様をみればあり得ると思う。手元に置いておきたい本だ。
2020/10/16
そーいち
主に内政面で豊臣家を支えた秀吉の弟の生涯を経営的視点から読み解いた変わったタイプの歴史小説。文献が少ない(少ないからこそ優れている)ために想像の部分が多くはなっているが、石高からみるに有能なのは確実だったのだろう。戦国武将らしからぬ出世の欲がなかったのが珍しい。変わり者で敵も多かった秀吉のために人と人との折衝を上手く行っていたのがよく分かる内容であった。若干のびいきがあるように思えたがそこはまあ好みということで。個人的には織田家の中でも目立たない存在ながら好きな丹羽長秀がピックアップされていたのがうれしい
2024/02/27
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