武士の碑(いしぶみ) (PHP文芸文庫)
武士の碑(いしぶみ) (PHP文芸文庫) / 感想・レビュー
如水
♪雨は〜降る降る〜♪で有名な「田原坂」。田原坂と言えば?そうっ!西南戦争です。この話は文官で有り武人、薩軍の村田新八を通して西南戦争を読む事が出来ます(しかも骨太?)。起こった原因、時代背景、経過、終焉迄『薩軍側』としてストーリーは語られますが、どちらが悪い等考える事無く読める所が凄い?そして新八の回想を(フランス留学)間に挟んでる事によって村田新八とは何者だったのか?を知る事が出来ます。日本最後にして最大級の内戦、様々な人物の想いが交錯する中、乱は勃発。明治維新の最終章を一冊で堪能出来る作品です?
2018/11/15
RIN
文武両道、城山陥落時にも手風琴を手放さなかった風流で文化人であった村田新八の語る詳細な西南戦争。資料が少ないのか、西郷や大久保を描くにあたっては強烈な存在感を示す脇役でありながらこれまで新八どんが主役の物語は読んだことがなかっただけに、新八ファンとしては嬉しい一作。…のはずだった…。確かにイメージする新八像と違わず冷静怜悧な人柄そのままに、冷徹に時代と同僚たる西郷・大久保を見つめる。著者は維新に否定的なのかな。謎多き西郷の謎がまた増えた…。
2019/01/07
kinnov
西南の役について、恥ずかしながらほとんど詳細を知らなかった。必ずしも清廉潔白な存在でなく人間臭い悩みや行動も含めて周囲から愛された西郷隆盛の姿と、薩摩武士たちの最後へ突き進む姿に涙した。近代化へ舵を切り変容する日本で、それでも己の依って立つ信念を命を懸け貫く様は、愚かに見えるかもしれないが強く胸をうつ。大久保が一人悪役なのではなく、それぞれの役割や想いが結果として悲劇を生むのだ。男ならなどと書くとマチョニズムと取られてしまうかもだが、時に男は自分の信じるもののために死ぬことで生きるのだ。と浪漫を信じたい。
2017/10/31
サケ太
『――人は、しかるべき場所で死ぬべき、か。』パリに留学した村田新八。大久保利通と西郷隆盛の二人を支えてきた男の視点から西南戦争を描く。己の行動に悩みながらも、男気を見せ続ける新八は格好良い。子を喪い、友たちを喪いながらも己の最期へと向かうその姿は悲しい。西郷という男は、己の事について非常に自覚的だったはずである。この戦争における意義と敗北の必然性に気がついた新八。そして、最後の選択と結末。こうなるしかない。という説得力あるラスト。濃厚なドラマがみれて満足。
2019/01/01
0717
村田新八を視点にした西南役が読みたい、と思っていたら伊東さんの著作にありました(司馬さんの桐野じゃね…)。パリでの挿話は出来すぎかと思いましたが、本書のテーマとも思える、人には死ぬべき時、死ぬべき場所で死ぬ、に沿ったものかと思いました。
2020/12/11
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