作家たちのオリンピック 五輪小説傑作選 (PHP文芸文庫)
作家たちのオリンピック 五輪小説傑作選 (PHP文芸文庫) / 感想・レビュー
りゅう☆
かつて馬術競技で金メダルを取ったバロン西の硫黄島で生涯最期に人生を振り返った城山三郎さん。1964年東京オリンピックで豊かになるなら私にお父さんをくださいという少女の願いが叶うといいな浅田次郎さん。有利といわれてきたのにまさかの幻となった名古屋オリンピックという現実を叩きつけられた奥田英朗さん。日本国籍の黒人たちが勝ち取った陸上競技での金メダルに賛否両論あるだろうけど、彼らの帰化物語がいい話の赤瀬川隼さん。海外で暮らす息子Rと過ごした数日が感慨深い小川洋子さん。国際的平和を保つための北京オリンピック…→
2020/12/07
chimako
来年のパリ五輪候補しぼりこみが始まっているこの時期に東京五輪のためのアンソロジーをやっと読む。五輪のためのアンソロジーだが今読んでも問題ない。というか、ふわふわと落ち着きの無い五輪前よりも今読むのにふさわしい。圧巻は巻頭を飾る城山三郎氏の「硫黄島に死す」元オリンピック馬術の選手が軍人となり激戦の硫黄島で玉砕。史実を元にした物語である。赤瀬川隼の「ブラック・ジャパン」は辛辣。奥田英明の「名古屋オリンピック」はちょっと懐かしく、自分も叱られている気持ちになる。書き下ろしの額賀さん、久しぶりに良かった。
2023/03/03
s-kozy
7人の作家によるオリンピック小説アンソロジー。1932年のロスに始まり、1964年東京、1988年ソウル(と名古屋)、1992年バルセロナ、2008年北京、そして2020年の東京オリンピック前夜という構成になっており、来年の夏に向けた期待が高まった。「東京物語」収録の奥田英朗さんの作品のみ既読だったが、7編が時系列の中に自然に収まっており、また立場、年齢などによりオリンピックとの関わりが異なるということがよくわかり、楽しめた。ラストの額賀澪さんは初読み。「タスキメシ」「ウズタマ」の人か、読んでみようかな。
2019/06/20
さっこ
それぞれのオリンピック。競技やスポーツを描いているのではなくオリンピックという題材はちょっとしたスパイス程度。戦争だったり父の愛を欲した少女のお話など多彩でした。作家さんの個性がふんだんに散りばめられていました。
2020/05/13
ちさと
2020年に東京で開催されるオリンピックに先駆けて、オリンピックを題材に描かれた7作品を収録。オリンピックじゃなくても良かったんじゃ…というお話から、こんなオリンピック観があったとは!というお話もあり、競技の多様性しかり、著者の構想力もまた多岐に渡り殆どの作品で心地よい読後感を味わいました。特によかったのはバロン西の生涯を綴った城山三郎の「硫黄島に死す」グローバル化と愛国心の摩擦を浮き彫りにした赤瀬川隼の「ブラックジャパン」うーん、シュールな海堂澪の「平和的祭典北京五輪」も捨てがたい。
2019/01/31
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