帰蝶(きちょう) (PHP文芸文庫)
帰蝶(きちょう) (PHP文芸文庫) / 感想・レビュー
納間田 圭
とても魅力的に映る…彼女。天下人織田信長の正室で。下克上の権化マムシの斎藤道三の娘で。そしてあの明智光秀のいとこで。きっと…ジェットコースターのような人生だったのだろう。1549年15歳で美濃国から輿入れして来た濃姫こと帰蝶。織田信長の偉業”天下布武”を支えた彼女の存在感。京のあきんど…立入宗継。”うつぎ”という内通者の女。池の鯉の飼育係の足軽”佐兵衛”。徳姫と植原左京亮の禁断の恋。上洛を誘う名物茶器「楢柴」の罠。日輪が欠ける日蝕と…本能寺の夜。
2022/07/29
はつばあば
「信長のシェフ」を読んだ後で、この帰蝶を読めたことでなにもかもスッキリしました。帰蝶、道山の娘で信長の嫁であり光秀の従妹。自分の子を持たず、信長の生殖本能の後始末に追われるばかりかと案じておりましたが、ほのかな恋に近い感情を持つ殿御がおられたことに安堵。その殿御は御蔵職の立入氏。信長を増長させたのも光秀を焚きつけたのも彼ではないだろうか。都にはこのような剛胆な男で帝をお守りするのは八瀬童子だけかと思っていたがコミックで知った御蔵職。勉強になりました。そして信長に恐れを見せない肝っ玉帰蝶。惚れ惚れしました
2021/06/27
だまし売りNo
織田信長の妻の帰蝶(濃姫)を主人公とした歴史小説。帰蝶は信長の観察者である。帰蝶を信長の理解者とする描かれ方はあるが、本書の帰蝶は信長と異なる価値観を持っている。たとえば騙し討ちを卑怯と感じている。「夫が弟を成敗したことについてあれこれいうつもりはなかったが、信行は信長の仮病に誘われ、見舞いにきたところを惨殺された。騙し討ちというやり方が帰蝶は気に入らない」
2023/05/25
shoko
史実とは異なるところもあるのかもしれないけれど、大河をもっと楽しむためのツールとしても良かった
2020/05/28
みやしん
文庫で再読。熟年離婚寸前で踏みとどまっているような精神状態の、女性作家(兼信長ギライ)らしいアプローチの時代小説。おくびにも出さない、夫への冷めた感情の裏で終始家中の武将以下の者達への派閥政治に腐心するストレスはいかばかりか。信長と家康以外台詞ありのメジャー武将が殆どおらず、主人公も表立ってチャンバラするわけにもいかないから、痛快活劇とはジャンルが異なるからえらく読むのに時間がかかった。事変の真の黒幕とは・・・
2019/12/17
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