白村江 (PHP文芸文庫)
白村江 (PHP文芸文庫) / 感想・レビュー
杜のカラス
かなり以前に読み終えた本であることに読み始めてから、気づいた。まさに再読本である。筋は、解っていた、古代の朝鮮半島、朝鮮でも高麗でもない、それ以前の、今の韓国、それを新羅、百済、そいて高句麗とそれぞれの文化、民族で分かれていた。昔の日本は、その一部を日本の領国ともしていた。むしろ日本のルーツかもしれない、なんせ日本も文明的には未開な時代、朝鮮半島から文明を持った人々が移住して、それなりの地域連合もあった。それを流れにした歴史小説だ。二度目でも面白いといえば面白い。フィクション面が大きい。そうしたもの。
2024/01/05
巨峰
白村江に至るまでの朝鮮三国と我が国の関わりを人物を通しながら描いた大作。この時代の小説は数がないので興味深かった。けど、この小説のオリジナルな部分は、流石にこの時代の異国同士が、そんなには連携できないよなと思ってしまう。
2021/02/20
ひろし
白村江の戦いを題材に、古代の朝鮮半島をめぐる倭国、新羅、百済、高句麗、唐各国の思惑と動きを各国の王族などを登場人物にダイナミックに描き出している。日本と新羅・百済の関係、白村江での撤退など、歴史上の「不自然な事実」に独自の解釈を加え、それがストーリーと一致し説得力を持ってなるほどと思わせる。合わせて著者の作品に見られる幽玄の世界も垣間見える。東アジアの端といえ、古代の方が今よりも国際情勢に敏感で能動的だったのかもしれない。
2021/06/26
ピップ
飛鳥時代の戦争「白村江の戦い」の話。結末が分かってる歴史小説ですが、時代と内容がとてもおもしろくて良かったです。この時代のことは蘇我入鹿って名前が変、程度にしか知らなかったので「大化の改新」のことがなんとなくわかってよかった。通説とは異なる内容だったのかもしれませんが、ロマンがあります。しかし国のトップって、ある意味非情で自らの手を汚すことを躊躇しない人じゃないとやっていけないんだろうな。厳しい世界だ。
2021/09/13
活字の旅遊人
小説としては、面白かった。数年前、園村昌弘・中村真理子の漫画「天智と天武」を拾い読みしていたが、解釈は様々だ。このような謀略は、あってもおかしくはない。また、学者である高田貫太「海の向こうから見た倭国」、吉村武彦「蘇我氏の古代」などにある、当時の日本の情勢や日本と朝鮮半島との関係についての新しい説を取り込んでいるようで、読ませる内容になっている。読みにくくなることを覚悟の上で天皇を諡号で表さなかったことは評価するが、ならば「天皇」そのものや「聖徳太子」あたりの使用にも気を付けた方が良かったのではないかな。
2021/01/10
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