黄蝶舞う
黄蝶舞う / 感想・レビュー
とん大西
『君の名残を』,『修羅の都』と鎌倉づいてたここ数週間。案外この混沌とした武家政権黎明期も好きなんだなぁとあらためて自覚。そのカオス渦巻く鎌倉府の創業者源頼朝とその家族の忌の際を描いた短編集。巧みな政治手腕で東国の荒くれ武者供を束ね独立政権を打ち立てた初代頼朝。平清盛、安徳帝、源義経、木曽義仲、大姫…。敵味方問わず数多の犠牲。無念と屍の上に立つ鎌倉の社稷にまとわりつく怨念、恨み、祟り…。頼朝やその子らの臨終の哀れなさま。史実を超えた奇想譚とはいえそんなこともあったかもなぁと非情の時代に儚さをおぼえる…。
2018/05/04
ポチ
読友さんのレビューより。源家三代の滅亡を哀しく綴っている。亡霊と怨霊も出て来るが、文章が綺麗だから怖さより哀れさが際立つ。頼朝の死の真相はもしかしたら…。
2017/08/18
藤枝梅安
「君の名残を」で登場した、大姫の死や、頼朝、頼家、実朝、公暁の源家三代の死に至る様を描いた5編をまとめた1冊。頼朝に恨みを抱いて死んでいったものたちの怨念が集まり、鎌倉三代を呪う、という内容。流麗な文体が、人の儚さを引き立てている。装画は藤枝出身の北村さゆりさん。誤植1箇所:59ページ6行目に「談じて否だ」という記述があるが「断じて」が正しいはず。
2010/09/19
assam2005
「君の名残を」の後の時代のお話。木曽義仲の息子・義高の妻であり、頼朝と政子の娘である大姫のその後から始まり、有無を言わさず出家させられた頼朝の孫・公暁が恨みを晴らすべく北条”四郎”義時を討とうとするところまで。何故、四郎が「君の名残を」で現代からタイムスリップしたのかが分かった。四郎側の視点ではない為、共感はしにくく入り込みにくかったが、この最後の「義時の神がかり的な行動」を意味する為の一冊だったように思える。既に四郎ではなくなってしまったのが少し寂しく、哀れに思いました。
2022/02/26
蒼
平清盛、源頼朝、実朝、公暁、頼朝の命を救ったことから始まった平家と源家の興亡を描く幻想的小説。歴史好きな読者の方には面白く読めるかもしれないが、そもそも幻想的な物語が苦手な自分には合わなかったな。
2019/04/01
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