ぼくらが夢見た未来都市 (PHP新書 676)
ぼくらが夢見た未来都市 (PHP新書 676) / 感想・レビュー
碧海
流線形の高層ビル、透明なチューブ、空飛ぶ車。「未来」と聞いて浮かぶ光景はどこから連想されて、どこへ消えたか建築史とSF史から考察する本です。いつしか無邪気な未来予想図を描けなくなり、暗く荒廃し、ありえそうな危機感に満ちた近未来が受け入れられ出したのはどちらも同じ。時代の風潮を取り込みながら、建築は都市と人を、SFは人の内面と夢や不安を、時代に合わせて形を変え、私たちを先回りして受け止めていたのでしょう。未来が、もはや「未来予想の歴史」という過去になった現在、特にSFファンに読んでほしい1冊。
2015/11/03
かっぱ
【図書館】40年以上前に大阪万博で夢見られていた未来都市が、2010年の上海万博でも変わり映えがない姿として登場する。ある時から未来はポジの部分の繁栄だけではなく、ネガの部分である廃墟の姿としても思い描かれるようになってくる。そういう点では未来への夢だけを描くことができた大阪万博は特別なイベントだったと言えそう。当時のSF小説が建築に与えた影響も興味深い。
2014/11/15
ネムル
大阪と愛知の二つの万博を接点に、かつて建築家が夢見た未来都市と小説や映画で描かれたフィクションとしての未来都市、その二つの関係と変遷について書かれている。60年代を牽引していくメガストラクチャーやメタボリズムなどわりと入門的な内容なので、その思想に結びついた簡単なSFガイドとして楽しんだ(誰もが考えるだろうメトロポリスやブレランはもとより、プリーストやサンリオSFなんかも挙げられる)。むしろ失敗することに失敗したという愛知万博について、もう少し読みたい。
2013/07/02
雲をみるひと
数百年前から愛知万博の頃までの未来都市に関する様々なアイデアを纏めた本。都市に関するアイデアを知るという目的においては入門書となり得る。空想、構想から都市計画までの全てを網羅しており、いつどのようなアイデアが世に出たかは纏まっている。しかしながら一方で各々の詳細まではあまり入れていない面は否めない。
2018/06/12
オシャレ泥棒
図書館 拾い読み。SFで描かれた未来、ユートピアとディストピアが紹介されているところがよかった。愛知万博を「失敗することに失敗した」と評する。万博を開催する意味を見いだせなかったことが敗因の一つなのだろう。
2016/10/10
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