「損」を恐れるから失敗する (PHP新書)
「損」を恐れるから失敗する (PHP新書) / 感想・レビュー
活字スキー
お久しぶりの和田先生。人は得よりも損に対して過大、過敏な反応をしがちであるということ。そうした心理学にあまり親しんでいない日本人は欧米人に比べると感情に振り回され易く、目先の損を恐れるが故により長期的で深刻な過ちを犯してしまう。損得も、絶対量ではなく基準点(たいていは現状)からの変化とその印象評価で具体性を欠くことが多いなど。自分のことでも、世の中を見渡してみても心当たりがありまくり。今回も穏やかな口調ながら、世のアホ共に対する先生の憤懣がそこかしこに見え隠れするような(苦笑)
2019/01/14
チャー
何かをしようとするときに損得を考えることもしばしばあるが、本書は損失を過大に捉えすぎて萎縮してしまうことの危うさを伝えている。失敗したくないから新しいことに挑戦したくないという心理はなるほど確かにと思う。年を重ねるにつれて行動範囲のみならず捉え方まで狭くなってしまうのは、逆に自身を成長させる機会の損失につながる。諸外国人も日本人と同じように保守的な考えの人が少なからずいるという指摘は偏った考え方を改める良い視点であった。一方で両者の違いは、損をしないために動くのか得をするために動くのかということのようだ。
2022/07/29
三浦郁子
最近、行動経済学というものに興味津々で、手に取った本著。著者の和田氏ももちろん心理学者であるが、行動経済学は経済学という言葉はついているものの、基本的には心理学なのだそう。 行動経済学に貢献し、ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマン、ハーバート・サイモンは共に心理学者だ。心理学の知見が経済現象を説明するのに有効である、ということだ。タイトルからわかる通り、人は得をした時より、損をした時により強く心が動かされる。損をしたくないという強い動機が人を動かしてしまう、という話だった。興味深い。
2022/11/13
葉
損得の強い気持ちが強く動かされることで間違いも起こる。そこには、行動経済学の心理的行動が隠れている。カーネマンらの研究で、資産100億円を例にとった実験結果を挙げている。限定合理性はあまり院生の時に触れなかった。ミルグラムの服従の心理などはもうなされているかもしれないがゲーム理論にも活用できるはずだ。見えない逸失利益に自分も気づいていないことが多い。
2017/04/23
るい
心理学からみる損を回避する心理がとてもおもしろかった!テレビの通販番組は、実に私たちの心理を捉えた巧みな番組なのだなぁと感心。カーネマンの実験からわかった「最後の記憶が残る」という心理は、私の仕事にも生かせそう。また、「より健康になることにはお金をかけない」というのもうなずけた!これからは、より健康になるために投資していこうと思う。
2017/05/31
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