ルーアンの丘[増補新版]
ルーアンの丘[増補新版] / 感想・レビュー
なかなか
有象無象の情報がいつでも手の中にある現代はある種の幸せを失ってしまったのかもしれませんね。 フランス行きの船旅の途上で出会ったアジアの物乞いやパリの街の魅惑など、実際に人間と接しその場に立って衝撃を受けるという一度切りの状況を得るのはもう難しい。 遠藤文学とかキリスト教についての素養のある人が読むのがいいのでしょう。 昨夏、ルーアンに行った時この本のことを知ったのですが、今はすっかり観光地化していて「瑞々しい青春」の舞台も失われたようです。
2024/01/11
ihatov1001
遠藤周作氏の若かりし頃の追憶を描いたエッセイ。フランスへの留学、現地での肺病、そして恋人フランソワーズへの書簡が載っています。留学当初は、のちの愉快な狐狸庵節の片鱗が見え隠れしていますが、病気のこともあり、だんだんとシリアスかつ抒情的になってきます。恋人への手紙は甘くそして切なく、色々な感情が読んで取れます。
2022/12/28
あや
ルーアンの自然やパリの街の描写が美しい。恋をした女子学生が「私が・棄てた・女」のモデルと言われていたことは知らなかった。
2019/01/03
koi
まだ戦争の影が残る中、フランスに渡った著者のエッセイと日記。くすっとするところもあれば、人間について深く考えるところも。 遠藤周作もこんな恋をするんだ…と胸が苦しくなるような気持ちで読みました。大作家でもこんな青年時代があったんですね。
2022/07/19
ぷるぷる
20代後半の遠藤周作がフランスに留学した時の旅行記が前半「赤ゲットの仏蘭西旅行」、後半は滞在中の日記「滞仏日記」。1950年に欧州に滞在できたなんて幸運だと思う一方で敗戦国としての受け止められ方に不安を感じます。そんな2つの作品を合わせて「ルーアンの丘」だったらしい。そこに新たにフランス時代の恋人フランソワーズに送った手紙をくっつけていて興味深くはありますが他人の恋路を覗くのにどれだけ価値があるのやら。遠藤周作を深く掘り下げたいとか研究したいとかいう向きの内容。基礎知識なしに読んでも訳わからんと思います。
2017/10/17
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