オウム死刑囚 魂の遍歴 井上嘉浩 すべての罪はわが身にあり
オウム死刑囚 魂の遍歴 井上嘉浩 すべての罪はわが身にあり / 感想・レビュー
いつでも母さん
死刑執行の報道が昨年だった事を思い出させる。忘れやすい私だがオウム真理教・地下鉄サリン事件・・覚えている。今も苦しんでおられる方がいる。門田さんの今作は良くも悪くも人間『井上嘉浩』がここにあった。これだけの事を手記に記する人間が何故・・と思ってしまう。一審の裁判長の言葉が沁みた。「すべての罪は、わが身にあり」自分を俯瞰している言葉も今は虚しい。結果的に死刑執行でも、再審は認められるべきだったのではないだろうか。葬儀の際の父親の言葉を知るのも苦しい。二度とあのような事件は起こりませんようにと切に願うのみだ。
2019/04/17
遥かなる想い
オウム事件の死刑囚 井上嘉浩をめぐるノンフィクションである。まじめな若者がオウムの虜になり、犯罪集団に加わっていくのかが 丹念に描かれる…暴走した集団の狂気が 本当に怖い。加害者視点の描写だが、多くの人々の人生を狂わせた あの事件の記憶が蘇り、心に痛い… 贖罪と悔恨の日々が 両親の苦悩と重なる …死刑囚の物語だった。
2021/11/16
ゆみねこ
間違った師匠に出会ってしまった一人の真面目な若者。危ないと思った時に逃げることは出来なかったのだろうか?死刑制度の是非は、私にも答えは出せないけれど、ご両親の哀しみを思うと切ない。
2019/04/22
nyaoko
オウム関連の本を何冊か読んでるけど、この井上元死刑囚だけは「どうして…」と思う気持ちが大きい。最も若く、自分と歳も近く、同じ物を見て育ってきたからか、気持ちが寄ってしまう。彼がオウムに出会うまでの僅か18年の生き方、純粋で素直で勤勉で、愛犬と家族を大切に思ってただけに、こんな馬鹿げた事に罪を重ね、盲信して行った姿がどうしようもなく悔しい。事件に直接的に手を出していないけれども、関わった罪はあまりに重く残忍で、死刑をおいて他にない。それでも…それでも彼にはもう少し、犯した罪を悔いて懺悔して欲しかった。
2019/07/15
ろくせい@やまもとかねよし
オウム真理教事件に関わった井上嘉浩の死刑が2018年7月に執行。本書はそれを機に出版される。彼と両親との手紙や井上本人との面談から、彼のオウム入信、事件への関与、裁判への対応のレポート。京都有数の大学への進学高校に在籍していた井上は、超越的な現象に強い興味をもっていたとのこと。アリバイ的に進学した東京の大学を中退し、両親の反対を押し切ってオウムに出家。オウム内では、多くの疑念が薄れていき、凶行を犯すまでに至る。逮捕後は、両親の力添えもあってオウム脱会、真相究明に協力。犯した罪の重さを考えるとやるせない。
2019/02/16
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