美貌のひと 2 時空を超えて輝く (PHP新書)
美貌のひと 2 時空を超えて輝く (PHP新書) / 感想・レビュー
アキ
日本では江戸時代以前の過去と現在で美人の描かれ方が違うのに、ヨーロッパでは中世から美貌の描かれ方は変わらないようです。表紙の絵「虚栄」では目を閉じているように見えて、左手に持った鏡をちらりと見ている。絵画に描かれる美男美女は、永遠に美しい訳ではなく、その一瞬を写す絵画はvanity「虚しさ」というもう一つの意味をも含んでいるのだろう。ローマ・バルベリーニ宮殿にあるベアトリーチェ・チェンチは、フェルメール青いターバンの女のモデルだそうですが、チェンチ一族のその後の悲劇の顛末が印象に残る。
2022/01/28
keroppi
美貌の人を描く絵画が紹介される。女性だけでなく、男性も。実際にいた人だけでなく、伝説の人も。表紙の絵が印象的なのだが、彼女は「虚栄」を擬人化した絵だそうだ。美しい人物には目がとまるが、その背景には色々なドラマがある。GODIVAのマークの女性の意味も、この本で知った。
2021/09/18
読特
美しい女性は絵で残されても男を魅了する。薄幸であれば尚のこと・・文豪スタンダールを虜にさせたベアトリーチェ。時は16世紀。虐待した父を殺したとして公開処刑。冤罪濃厚。怪しいのは得をした時の教皇。極貧から這い上がった永遠の少女スター、アニー。小柄な体で銃を手に生涯現役。元祖ナルシスト、ナルシス、評判の美女の母を持つクールベ―、切り裂きジャック説もあるシッカート。美しさなら男性も負けていない。「虚栄」に「驕り」、概念が擬人化されると何故か美しい姿に。200頁に24話。短い尺で次から次へと様々な美を味わう。
2021/11/07
Nat
図書館本。前から知っている人や絵も多かったが、初めて知った人もいて面白く読めた。ダイアナ妃の祖先のサラ・ジェニングスが特に興味深かった。あとがきで紹介されている映画『女王陛下のお気に入り』も観てみたい。また、クララ・シューマンの章で紹介されているブラームスの若き日の写真があまりにも素敵だったので、びっくり!クララの映画『クララ・シューマン 愛の協奏曲』も観てみたい。
2022/01/15
キムチ
当作も外れ無しの傑作。余りの面白さで週刊誌的、インスタ的とまで感じたが終盤のスペイン王朝とゴヤ、装丁にある虚栄への箴言は流石中野先生と感じ入る。愚王カルロス4世と史上最悪王妃は既知だったが取り入ったゴドイ・・初めて知り、それをゴヤだからこそ描いた眼の凄さ。爛れたスペイン滅亡のあと怒涛の欧州の海の中19C迄生き抜いたとは。架空の美女を虚栄の象徴とし描いた1枚、与謝野の詠み歌は画龍点睛。美貌の人と有れば地球上では男女「しか」いない。間に介在する存在もかなり美術のネタになって来た。18C新古典主義の蘊蓄が面白い
2021/11/26
感想・レビューをもっと見る