凪に溺れる (PHP文芸文庫)
凪に溺れる (PHP文芸文庫) / 感想・レビュー
よっち
一人の天才音楽青年が作った「凪に溺れる」。その曲と運命的な出会いを果たし、夢と理想、そして現実とのはざまで藻掻いた6人の人生を描く連作短編集。出会った人の心を揺さぶらずにはいられない十太の音楽。霧野十太と水泳少女の出会い、燻る高校時代に出会った少女、大学時代のバンド仲間、夢を思い出したフリーライター、彼の父を巡る過去。第三者視点ゆえに音楽に邁進し続けた十太の複雑な想いは想像することしかできないですけど、それでも彼が生み出した音楽は生き続けて、受け継がれてゆくことを予感させる結末がとても印象的な物語でした。
2023/05/09
komorebi20
青春の迷いや苛立ち、無力感を描いた群像劇。青羽悠さんは、16歳の時にデビュー作が受賞しています。現在は、会社員と作家の二刀流との事。両立しているのは凄いですね。 「凪に溺れる」のように誰しも心に残る歌があります。若くして早逝したミュージシャン十太は、尾崎豊やフジファブリックの志村さんと重なりました。亡くなっても名曲は、生き続けています。私の中では、「若者のすべて」かな。
2024/10/03
なみ
『凪に溺れる』という曲がネットで拡散されるが、ボーカリストはすでに亡くなっていることが発表される。 霧野十太という人間の歴史を、彼に魅了された人々の視点から、繊細な文章で描いた青春小説。 三章の、十太から本音が漏れるシーンが印象に残ってます。 ここで初めて、霧野十太という人間のことを、ほんの少しだけ認識できた気がしました。 音楽によって、光莉や夏佳がつながっていく五章も素敵です。
2023/05/22
駒
歌の力。切ないけどカラッと爽やかな作品でした。若い作家さん。新たな才能が嬉しい。十太の歌、聴いてみたいなぁ〜!
2023/08/22
トト
「凪に溺れる」は、不世出のカリスマ的ミュージシャンの曲名。中学時代1人でギターを奏で、高校学園祭で演奏、上京した大学でバンドを組み、解散、1人でデビューする寸前に27歳で早逝した青年。彼のバンド人生と、彼の生き様と彼の音楽に影響を受けた人たちを描く青春小説。既視感ある骨組みだが、伏線を少しずつ綺麗に回収していく結末と、瑞々しい筆致が相まって、良い作品になってます。すべてのものは繋がるべくして繋がっている、らしいです。
2024/08/21
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