退屈読本 上 (冨山房百科文庫 18)
退屈読本 上 (冨山房百科文庫 18) / 感想・レビュー
月
退屈することのない一冊だった。形式、主題とも多様で、滋味に富み、時に諧謔あふれる随筆・・。佐藤春夫の著書(小説)はまだ三・四冊しか読んでいないが、積読本を含め、まだまだ読み込みたい作家の一人でもある。本書は、その作品においてもジャンルの広い佐藤春夫の源泉的魅力を感じさせる一冊だった。月評的雑文、散文精神の発生、秋風一夕話、「風流」論ほか、いろいろな意味(角度)で楽しめる作品は多い。
2015/04/14
ねこ
短いまとまった文で主張が丁寧に正確に表現されてて、主張に胸を撃ち抜かれる感じがして爽快だった。特に「芸術の内容は何か」「文壇六号活字的雑感」
2014/03/27
慶多楼
再読。『高田豊を紹介す』ってフォークの高田渡のお父様か!前回気づかなかったこと。
2014/02/03
寛理
解説で丸谷才一も指摘しているが、この本を読むと佐藤春夫が典型的なロマン派的文学者観のスポークスマンであり、大正文壇がその上に一種の楽園として成立していたことがわかる。「イッヒロマンについて」は、柄谷行人などが批判した自然主義=ロマン主義の見事な要約として読める。ただ面白いのは、むしろ文壇という安定した土台があるゆえに、この本自体は、全くロマン派的でない、テクストの多様体として成立していることだ。 あと、細かいことでは、谷崎が思想なき芸術家と呼ばれた経緯がわかる。和辻哲郎の発言はもっと後年のことだろう。
2021/01/10
サルミアッキー
諧謔と皮肉の効いた文章にときおり混ぜられる美しい比喩表現がとても楽しい。 「飾窓を見る事の面白さ」「『風流』論」「処世術」あたりが個人的なお気に入り。
2018/03/24
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