青さぎ牧場
青さぎ牧場 / 感想・レビュー
ぶんこ
児童書という事ですが、かなりの長編で内容も濃かったです。オーストラリアの人種問題が絡んでいたと分かるのは終盤になってからですが、主人公のリルの精神の靭さと、ペリーの穏やかさで気持ちよい読後感でした。3歳から保育園と女学校の寄宿舎で育ち、家族の温かさを知らなかったリルが、父の事故死によって祖父と出会い、田舎の牧場で生活するようになる。他人との13年にわたる生活。祖父も孫の存在を知らずに孤独で貧しい年月でしたが、アオサギの訪れる美しい牧場を相続して、お互いにいたわり合い、家族ができ仲間ができ、本当によかった。
2016/07/07
joyjoy
牧場で一緒に暮らし始めた少女と祖父のほのぼのした物語、ではなかった!オーストラリアの季節感や風景、植物などが想像しにくく、はじめはその描写についていくのが大変だったが、二人が祖父の故郷に着いたあたりから、どんどん惹きこまれた。古い家を少しずつ居心地よく整えていったり、隣人や初めての仲間と交流したり、農場経営へ本格的に取り組み始めたり。少女リルの一年の成長をたどりながら、オーストラリアの歴史、人種問題についても考えさせられた。原作は1964年と古いが、それを承知の上で読めば、当時のことを知るきっかけになる。
2021/05/28
HISA
☆☆☆☆タイトルから牧歌的なお話かと思ったら、全く違い、テンポも良く情景や人格の描写も的確で読み応えもあり、面白かった。家族の愛情を知らずに育った為に、どこか傲慢で鼻持ちならない少女が、暖かい人々と同世代の若者との友情によって成長していく姿の描き方が見事。1964年発刊の本だけにあからさまな差別感情や差別的表現に驚くが、それが当時の普通の描き方で、今となってはあり得ないので、興味深い。
2022/10/14
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