生家へ
生家へ / 感想・レビュー
ねこ
「おすすめ文庫王国2024」にあった中公文庫ベスト50フェアの中で最も読みたいと感じた1冊が本書。著者が「生家」を中心に家庭の中であった様々な事、当時(1930-1960)の生活状況や思想、著者の行動や考え方、妄想、夢の話などを作品1から11までにまとめてあります。子どもの頃、思春期の頃の家庭環境や自分の見た夢や妄想を文章にしてしまうなんて凄い。私だったらとても恥ずかしい。最後に小説として「黒い布」があり著者の実体験が随分色濃く出ている。これが昭和36年に中央公論新人賞になり、同時に著者の処女作でもある。
2024/03/31
龍國竣/リュウゴク
戦争があって、「私の生家は、隣りまで焼けたくせに、どうしてか残っていた」(p.182)。アウトサイダーとして描かれる「私」とその家族。周りにいる人々もみなどこか外れている。そこに「私」の見る幻がふいに混入してくる。作者は混沌を平易な文章で表現できる天才だ。
2014/10/27
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