ユリゴコロ
ユリゴコロ / 感想・レビュー
ウッディ
実家の押入れで見つけた「ユリゴコロ」と記されたノート。綴られていたのは、罪の意識を持たず次々と人を殺めた手記であった。ノートに描かれた衝撃的な内容に驚き、誰が書いたものなのか、幼い頃の記憶の断片を辿るうち、頁をめくる手が止まらなくなりました。まほかるさんの狂気の世界は、どっぷり浸かると抜けられない恐怖がありました。千絵の失踪と自分を支えてくれる従業員の細谷さんの献身、きちんと伏線として回収され、スッキリの結末でした。
2018/08/26
にいにい
久しぶりの沼田まほかるさん。「ユリゴコロ」って何?とタイトルに惹かれ、読みだして、悍ましさに魅せられ、最後は、夫婦愛や家族愛にほっこり。だけど、殺されたり、傷つけられたりした人々やその家族の気持ちには、寄り添っていないよね。ユリゴコロの中に入った犠牲者には、多少の思いはあったけど、独りよがりの思いだし。成り行きの殺人も多い。なんか後半の流れにうまく乗せられる感じの終わり方。殺人者の心情を理解するのは無理だし、愛のためでも殺人は正当化出来ないんじゃないかな。前半は理解不能で、後半は正当化し過ぎと感じた。
2014/02/11
zero1
殺人の遺伝子はある?正体不明の恐怖が読者を襲う!押入れで見つけた4冊のノートには、驚愕の内容が書かれていた。これは誰が書いた?事実か創作か?もし事実なら自分と母は何者か?再読でも緊迫感は薄れない。読んでいて思い出したのが乱歩の「赤い部屋」。後半の殺人はミステリーの女王アガサ・クリスティを連想した。独特の世界観は読者がページを繰る手を止めない。厳冬の時期に炬燵で読むには最適の一冊!背中が寒くなるに違いない。善悪を超越し疑問は残るが伏線の回収は見事。怖いだけでなく人と家族が描かれている。警察は無能?
2019/02/14
風眠
自分の親にもそれぞれの過去があるということを、気に留めたこともないけれど、知ることがいいのか、知らないままがいいのか、ということを考えながら読んだ。現実と過去(いや白昼夢と言ったほうがいいのか)を行ったり来たりしながら、ラストへむけて読ませる力はさすが。恐ろしいことに、ひとつひとつの出来事にわずかな共感を覚えてしまうように感じた。血なまぐさいストーリーではあったが、家族という血縁の不思議な美しさを描いた作品だった。作者は醜いもの不穏なものから、清く美しい真実を掘り起こす名手であると思う。
2012/01/08
takaC
15で、はたと閃いた時の驚きは快感だった。物語そのものは決して快いものではないけれど。
2012/03/12
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