奔る合戦屋
奔る合戦屋 / 感想・レビュー
藤枝梅安
合戦屋・石堂一徹シリーズ2作目。だが、内容的には「哄う合戦屋」に至る一徹の苦闘の物語。信濃の豪族・村上義清の与力として、合戦に明け暮れる日々。朝日を妻にめとり、娘・青葉を設け、順風満帆に思えた一徹だが、義清との息の合った合戦での動きとは裏腹に、領国経営に目を向けようとしない義清の器量に疑問を持ち始める。武田・諏訪・村上による滋野一族追放とその領地切り取りの後の、義清の軽率な計略が裏目に出て、一徹は家族や郎党をを失い、ついには義清の下を去る。悲愴で壮絶な「弔い合戦」の描写が心を打つ。(コメントに続く)
2012/10/29
とびほびこび
譜代と外様、聡明な武将を疎む主君。妬みとはかくも恐ろしいもの。人の業というものでしょうか。哄う〜で一徹が纏う闇の部分がこの本で明らかに。家族と家臣に恵まれた日々を知るほどに哀しみが増します。いずれは良き主君に仕えて欲しいと願うばかりですが・・
2012/06/18
ジュール リブレ
信玄前夜の信濃の村上家。忍び寄る気配に気づかぬ譜代の家臣と対極をなす合戦屋の活躍。シリーズ2作目だそうで、知らずに読んでましたが、特に困ること無く、良い話でした。前も後も読みたくなりました。 『風林火山』(新田次郎)は、前に夢中になって読んだけど、対岸の村上家側からの話は初めてかも。着眼点に拍手(*^^*)
2014/09/01
マムみかん(*感想記入少なめです*)
前作『哄う合戦屋』も手元にありますが、時系列的に先になる本作から読んでみました。 哀しい話でしたね〜。 軍才に恵まれ、先見の明があり、武勇にも優れた若き石堂一徹。 彼は尊敬する諸葛孔明のように、主君・村上氏を信濃の覇者にと望むが、主君に劉備ほどの器量がなかったために起きてしまったすれ違い! 平時の石堂家郎党や妻・朝日との様子に和んでいただけに、最終章は辛い(泣) この後一徹がどう変わったのか、『哄う合戦屋』で確かめねば!!
2011/07/23
りかん
デビュー作「哄う‥」に繋がる話。偉そうに言わせていただくと、人物描写が各段に良くなっています。朝日姫、三郎太、長治、みんな魅力的。皆さんの感想にあるように「哄う」を読んでいたら結末がわかってしまうので、こちらから読むのをお薦めします。この結末から「哄う」までの間の、合戦屋として流浪する一徹と長治の物語も読んでみたいな。
2012/05/16
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