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二千七百の夏と冬(下)

二千七百の夏と冬(下)

二千七百の夏と冬(下)

作家
荻原浩
出版社
双葉社
発売日
2014-06-18
ISBN
9784575238648
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二千七百の夏と冬(下) / 感想・レビュー

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kishikan

怒涛の上下巻600頁読了!面白かったなぁ。狩猟の時のドキドキ感、自然の雄大さ、古代人の生活、そして住んでる時代が違っても変わらぬ愛の形、荻原さんの短かくて明瞭なタッチの文章が、人の生き方というものを引き立たせてくれる。縄文期から弥生期への移行、想像の中でしか思い描くことはできないけれど、現代からの科学的な見方も交えているから、より鮮明に映る。でもそれよりなにより、ウルクとカフィ、二人の青年の愛の形が胸にジーンとくる。2700回の夏と冬を遡るロマン溢れるお話でした。

2015/02/09

モルク

物語下巻。故郷ピナイを追われたウルクはコーミーを探して山を越え、ヒグマと闘い、フジミクニという農作を主とする村にたどり着く。そこで禁断の南の森で出会った少女カヒィと再開するが…言葉、習慣の違いの中、カヒィとの恋も始まる。縄文人のウルクと弥生人のカヒィ。力を持つものの支配のもと、人が人を殺し、戦いが始まろうとしていた。村を出るウルクとカヒィ、迫り来る追手…ヒグマ、そして追手との戦いに興奮する。壮大なロマンを見せてもらった。

2023/06/09

hiace9000

ピナイを追われ、コーミーを求め、ヒグマとの死闘の末に辿りついたフジミクニ。海渡りが統治する理想郷での人々の生活を寓話的に描き、現代人に改めて「人とは」「戦とは」を問う。安定と富を求め、権力者に傅くなかで人は多くのものを手放し、忘れ去り、憎しみを知ってきた。一方で誰かを愛し、違いの壁を乗り越えつないできた二千七百星霜の命が、縄文から令和の今への歴史でもある。もの言わぬ古人骨がもの語る壮大な歴史ロマン。正邪も愛憎も善悪もすべて、彼らが残した祈りとDNAは、今なお私たちの中で息づき続けているのだ。

2023/02/28

reo

ウルクが探し求めたコーミーは、神の実などではなく、諍いの種なのだと…。更に「フジミクニの人間は貯め込むのが好きなのだ。ピナイよりたくさんの食べ物があるのにピナイの人間よりずっと、食べ物がなくなることを恐れている」という。戦争のもとは人々の欲に尽きるという、著者の賢明な文明論が垣間見てとれる。そそ、それと便所があるのは川の浅瀬に木を組み上げ、渡した横木に跨って用を足す。足場の横木は平たい板で、囲いと屋根もついている。それで川屋(厠)なんだ!知らなんだー(笑)またひとつ賢くなった。面白かった。お薦めです。

2018/02/17

masa

上巻はいつものテイストと違うかな?と感じたが下巻でしっかり荻原ワールドが展開して大満足だった。物語のラスト、フジミクニを追われたウルクとカヒィが洞で果てる場面は涙無くして読めなかった。実際に手を繋いだ男女の人骨は2011年イタリア北部モデナのローマ遺跡から発見されている。約1500年前のものという。(気になる方は検索下さい)人間の営みは基本的な部分では変わらないのだろう。「歴史をつくっているのは国家や政治や経済じゃない。歴史は恋がつくっているのだ。」

2015/02/15

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