足利兄弟
足利兄弟 / 感想・レビュー
とん大西
足利尊氏と足利直義。執権・北条氏が支配する歪な鎌倉政権を打破し、室町の世を築いた源家嫡流の両雄。骨肉、相克、慈愛-兄弟で刻んできた歴史は、そのまま鎌倉から室町への変遷、南北朝の争乱へと繋がる中世の混沌そのもの。天真爛漫で変幻自在。純真無垢で生粋の策士。天下をとった足利尊氏とは何者だったのか。正室の登子、執事の高師直、そして直義。おぼろげな尊氏像を彼らの視点から語るところが目新しくて面白い。…にしても、政権黎明期に混乱はツキモノとはいえ、発足当初からの足利幕府の脆弱さたるや…。戦国時代の萌芽とも言えようか。
2020/06/06
巨峰
南北朝の動乱から観応の擾乱へ。足利尊氏直義の兄弟と、尊氏の妻登子、高師直の視点から描く。複数の視点から描いているため、時点が前後したりの煩わしさがあるが、裏ぎり裏切られが頻繁におこり複雑なこの時代を、うまく整理して描けているのではないかなと思う。権力は恐ろしいもので、どんなの仲のいい兄弟や主従であってもその間を切り裂くものではなかろうか。足利尊氏は自らの行動の結果を嘆きはするものの後悔や反省はしていない。結局後ろや過去を振り向かなかったから、最後まで生き残れたのかもしれない。
2017/09/15
ちゃま坊
太平記にはなぜか兄弟がたくさん出てくる。北条の天下を潰した時に力を合わせていた足利兄弟、高師直兄弟、新田義貞兄弟、楠木正成兄弟。昨日の仲間は今日の敵で、勝ち残った足利政権も内部分裂していく。兄弟親子主従の間で権力闘争が醜い。
2021/01/10
糜竺(びじく)
尊氏が天然なのか器が大き過ぎる。こういうのをカリスマというんでしょうね。
2019/10/23
aloha0307
myベスト大河”太平記”における、真田広之さん(尊氏)&高島弟さん(直義)を読中思わずにはいられなかった。後醍醐天皇、楠木正成、高師直etcが世を去り、あれほど仲が良かった足利兄弟の反目:観応の擾乱がすごい臨場感でこちらに迫ってくる。敵の敵は味方など、そんな単純な図式ではとても語りつくせやしない(南朝との、まさかの和解)。尊氏の人物造形は素晴らしい。何と人間くさいことか... 昭和の教科書に出てきたあの騎馬武者像は尊氏でない可能性が高く、高師直では?との説が有力だそうです。
2017/06/11
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