ラジオ・ガガガ
ラジオ・ガガガ / 感想・レビュー
へくとぱすかる
タイトルと表紙から受けた印象とはちがって、かなり大人の小説。もちろん、どこかでラジオとつながる物語にはなっているが、青春ドラマを期待していたので。もっとも最近の若い世代は、ラジオをさほど聴かないかも。短編ごとに展開される人生模様が、たとえハッピーエンドでも、途中がかなり辛そう。一般小説をあまり読まないのだが、そういう暗さが私の苦手とする点なのかも。
2017/11/13
yoshida
ラジオにまつわる短編集。「昔の相方」、「音にならないラジオ」が印象的。「昔の相方」での売れ始めた芸人を友人に持つ夫。その夫を笑い者にして売れようとする芸人の悪意。難事に助け合う夫婦の姿が素敵である。「音にならないラジオ」で、ラジオ局のコンクールに最優秀賞をとるも作品の直しとプロットの没を貰い続ける貴之。向き合わない担当者に業を煮やし、偽名で応募したコンクールで最優秀賞を受賞した貴之は実力を証明するが。登場人物が意識的、もしくは無意識の悪意に晒されながらも立ち上がる姿が素晴らしい。実は硬派な作品集だと思う。
2017/11/19
おしゃべりメガネ
地味にしっかりと読み続けている原田さん作品で、そもそも図書館や書店なんかに行くと、その名前の並びからマハさんの隣でよく見かけることがキッカケでした。『東京〜』での不思議な作風にすっかり魅せられ、他の作品も手にとるようになりました。ひ香さんのどこか影のある人物達の何げない言動が魅力ですが、本作はそういう陰めいた感じが控えめだったのは評価が分かれるトコかもしれませんね。本作は決してキライではありませんが、個人的にはやっぱりドコかちょっとひねくれて陰のある作風や人物のひ香さん作品が読みたかったのかもしれません。
2017/06/23
hiace9000
さださんの『ラストレター』に続き、ラジオが素材の作品、連読。人が秘める切ない哀感を丁寧に掬い上げ、愛しみ描く6短編。要所にあるのがラジオからの「声」。そこで語る人の言葉、語られる見も知らぬ人の人生、或いは流れる曲が、ささくれだった人生の真上を横切るとき、ラジオの声は耳からすっと心に届き、そっと傷を癒すことがある。小さな変容がもたらされた主人公たちの姿・表情までもがありありと浮かんで見えるのは人描きの名手・ひ香さんならでは。映像のないラジオゆえに、より伝わるリアルな人との距離感。ラジオは今夜も、声を届ける。
2024/03/09
いつでも母さん
短編6作。『人生で大切なことはすべて深夜のラジオがおしえてくれた』とまでは思わないが、学生の時は深夜ラジオを、今は朝から夕方までラジオが共にある。時には懐かしい曲が聴こえたり、リスナーのメールや葉書の話に涙したり、笑って読書の手が止まることもあったりする。邪魔にならないように音量は小さ目だが・・そう、私はラジオが好きなのだ!(笑)なので、楽しく読んだ。『三匹の子豚たち』が近い将来の自分の姿にも思えて、切なくも楽しく読んだ。
2017/07/15
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